研究課題
基盤研究(C)
アブラナ科野菜の日本での採種時期は梅雨と重なるため、高い頻度で穂発芽が発生し、種苗業界では深刻な問題となっている。穂発芽とは、収穫前に実った種子から芽が出てしまう現象で、種子の収量減少や新品種作出時の障害などの原因となる。本申請研究では、アブラナ野菜の穂発芽原因遺伝子を明らかにし、さらに穂発芽しにくい品種の持つ穂発芽抑制遺伝子を明らかにして、穂発芽しにくいアブラナ科野菜の育種法を確立する。
日本では、アブラナ科野菜の採種時期は梅雨と重なるため、高い頻度で穂発芽が発生し、種苗業界では深刻な問題となっている。本研究では、アブラナ科の穂発芽の原因遺伝子を同定するために、遺伝学的および分子生物学的解析を行った。ゲノム解析、遺伝子発現解析およびプロモーター発現解析によりアブラナ科野菜では、胚成長停止制御因子IAA30のプロモーターに普遍的な変異が生じていることを見出した。この変異が、アブラナ科野菜で穂発芽が生じる品種が多発する主要な原因であることが示唆された。さらに加えて、アブラナ科野菜の穂発芽は母性効果により生じ、母性効果で穂発芽をもたらす複数のQTLの存在を見出した。
アブラナ科野菜の穂発芽の研究はこれまでほとんど行われていない。本研究では、アブラナ科野菜に共通して存在する胚成長停止制御因子の普遍的な変異と母性効果で作用する複数のQTLを見出した。本研究は、双子葉植物での種子休眠の確立と穂発芽の発生原因における新知見を提供するとともに、穂発芽を防ぐための新採種技術確立のための情報基盤として波及できる。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Plant Biotechnology
巻: 38 号: 1 ページ: 77-87
10.5511/plantbiotechnology.20.1207a
130008002865
Frontiers in Plant Science
巻: 11 ページ: 576140-576140
10.3389/fpls.2020.576140