研究課題/領域番号 |
19K06006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
塩津 文隆 明治大学, 農学部, 専任准教授 (60543907)
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研究分担者 |
加藤 洋一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (50463881)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | イネ / 水稲再生二期作 / 再生茎 / 萌芽 / 品種 / 水稲 / 再生二期作 / 多収性 / 再生二期作栽培 / 収量 |
研究開始時の研究の概要 |
水稲再生二期作は、一度植えて二度採る稲作栽培技術として古くから知られている。しかし、技術改良が行われなかったため収量は一期作よりも遥かに低い。今後の人口増加による食糧問題に対応するには、生産性の向上が必要不可欠である。本研究では、水稲再生二期作栽培で年間最多収記録を得るために、一度収穫した株から再生する茎の萌芽の発生・生長の生理生態機構を解明し、収量形成に対する再生茎の役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
収穫後のイネ刈り株から再生する茎から籾を再度得る再生二期作栽培は、イネの年間生産量を向上させる方法のひとつとして近年、熱帯から温帯に至る稲作地域で注目されている。しかしながら、依然として再生二期作目の収量が最大でも一期作目の50%程度とされており、再生二期作目の収量性の改善が必要不可欠である。そこで、本年度は昨年度に続き、水稲再生二期作栽培による年間生産量を高めるために、再生茎の萌芽形成の生理生態機構の解明を中心に取り組んだ。 主茎一本仕立てを用いて,刈り取り高さと窒素施肥が節位別の再生茎に及ぼす影響について調査した。その結果、一期作目の節位別非構造性炭水化物(NSC)含有率は、上位節間ほど値が低く、下位節間ほど高くなり有意差が認められ、節間長が長いほどNSC含有率が低く,NSC含有率が高くなるほど節間は重くなると考えられた。一方、施肥量における再生茎数の変化については、第2節で有意差が認められ、多肥になるほど最も多くなった。再生茎重については、第5節で有意差が認められた。この結果から、刈り取り高さと窒素施肥が再生茎の発生、生育に影響し、その寄与程度は発生節位によって異なることが示唆された。圃場条件下において、茎再生力が大きく異なる品種を供試し、差異がどのような生理的要因に影響されているかを調査した結果、刈り株のNSC含有量および登熟中期の茎の窒素含有量がイネ茎再生力に影響する生理的要因であることが明らかとなった。しかし、出穂期や収穫期の茎のNSC含有量や窒素含有量と茎再生率は必ずしも関係がない可能性が示唆された。また、海外渡航制限が緩和されたため、インドネシア・バリ島における水稲再生二期作栽培の普及状況について現地調査を行い、普及のためには、現地農家への丁寧な説明および栽培技術の確立が重要になることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再生茎の萌芽形成の生理生態には、刈り取り高さや窒素施肥量が重要であること明らかになったものの、一部のデータでは逆の結果となった。そのため、さらに、年次を重ねての試験データの蓄積が必要であると考えられた。また、再生茎の発生位置の違いには、一期作目の節位が大きく関与していることが見いだせた。
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今後の研究の推進方策 |
各節位別のNSCや窒素の動態(転流・蓄積)を時系列に調査し、再生茎発生・生育への影響を詳細に解析する必要がある。また、水稲再生二期作栽培の収量性評価を暖地や熱帯アジアを中心に進める。一方、普及を想定した場合、品質・食味についても考慮することが考えられるため、理化学特性や外観品質について一期作米と比較・評価する。これらの結果を取りまとめて、学会発表や学術論文として報告する。
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