研究課題/領域番号 |
19K06089
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
斉藤 知己 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (80632603)
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研究分担者 |
河津 勲 一般財団法人沖縄美ら島財団(総合研究センター), 総合研究センター 動物研究室, 上席研究員 (50721750)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 絶滅危惧種 / フレンジー / ウミガメ / 孵卵条件 / 孵化幼体 / 表現型 / 生存率 / 資源保全学 / 動物生態学 / 孵卵温度 / 日内変動 / タイマイ / アカウミガメ / 生残率 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国は絶滅危惧種タイマイおよびアカウミガメが産卵する海岸を有し,その資源回復に重大な責任を担っているとされる.そのため,各地では保全や人工繁殖等の取組みが盛んに行われている.砂から脱出した直後のウミガメ幼体に特有なフレンジーは,ウミガメの初期の生残に関わる重要な性質と考えられているが,その詳細については不明な点が多い.また,ウミガメの保全活動にはこの性質を活かす配慮が不可欠であるが,概して実践されていない.本研究はタイマイとアカウミガメの孵卵温度とその日内変動に対する応答を調べ,各種のフレンジーの特性を把握してその効果が最大となる孵卵条件を究明し,新たなウミガメの保全活動のあり方を提示する.
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研究成果の概要 |
本研究ではウミガメ各種が選好する産卵深度に基づく孵卵温度の変動に対する応答を調べ、各種に最適な孵卵条件を究明した。孵卵温度29℃を基準として一定、±1℃及び±2℃の日内変動幅の3条件で孵卵した場合、アカウミガメは±1℃区が、タイマイでは一定温が最も孵化率が高かった。一方、鱗式変異率(背甲の鱗の配列が通常と違う個体の百分率)はタイマイで変動幅に伴い高くなった。よって産卵深度の浅いタイマイでは卵が温度変動の負の影響を受け易い。タイマイは砂浜の開けた場所か植生帯内部で産卵するという異なる嗜好性が報告されてきたが、タイマイの産卵地砂浜では温度変動の緩衝効果の高い海岸植生を保持する事が望ましい。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多くの卵生爬虫類で知られる、孵卵温度により誘発される孵化幼体の表現型の違い(体サイズ・形、性、運動能力等)は、適応度の違いをもたらし、個体群の存続に重要な役割を果たすと考えられている。本邦の海岸で産卵が確認されるウミガメ(アオウミガメ、アカウミガメ、タイマイ)は異なる産卵深度を選好するが、上層ほど平均温度は高く、日内変動の振幅は大きく、各種で孵卵温度への感受性が異なる可能性がある。本研究の成果は各種で孵卵温度に伴う表現型の違いを調べ、これに関わる生理学的機構を解明し、各種に最適な孵卵条件を究明する。その結果に基づき、従来の保護活動を見直して新しい指針を作り、ウミガメの資源回復に貢献できる。
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