研究課題/領域番号 |
19K06096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
炭山 大輔 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (40565339)
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研究分担者 |
安齋 寛 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70168029)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 薬剤耐性菌 / 環境汚染 / ヤンバルクイナ / 大腸菌 / 希少種保全 / 野生動物 / 希少種 / One Health |
研究開始時の研究の概要 |
野生動物と家畜やヒトの接触機会が増加することで生じる問題として、薬剤耐性菌の相互伝播があげられる。薬剤耐性菌は社会問題として取り沙汰されているが、野生動物や自然環境の薬剤耐性菌汚染については明らかにされていないことが多い。これまで我々は希少種ヤンバルクイナの保有する大腸菌の薬剤耐性状況について調査を行い、多くの薬剤耐性を持つことを明らかにした。しかし本種がどのような過程で薬剤耐性菌を保有するに至ったのかは明らかではない。そこで本研究では、本種およびその生息地域の環境試料における大腸菌検出とその薬剤耐性、さらに遺伝的系統を比較検討することで希少種保護地域の薬剤耐性菌による環境汚染を評価する。
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研究成果の概要 |
沖縄県北部に位置するヤンバル地域に生息する希少種ヤンバルクイナおよびその生息環境試料(土・水)における薬剤耐性大腸菌(AMR大腸菌)保有率を、人間の生活(畜産農場周辺)地域(LA)と森林地域(FA)で比較検討した。その結果、AMR大腸菌保有率は、ヤンバルクイナおよび生息環境試料の両者ともにFAよりLAにおいて有意に高く、多剤耐性の保有率も高いことが明らかになった。さらにAMR大腸菌の遺伝子型解析により、LAから採取された土壌とヤンバルクイナ糞便の遺伝子型が一致した。これらのことから、LAではよりAMR大腸菌による環境汚染が進んでおり、本種がその運搬者になってしまうリスクが考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、沖縄県北部ヤンバル地域にのみ生息する希少鳥類ヤンバルクイナの糞便および本種の生息環境試料(土や水)を対象に、人間生活からの環境汚染の影響が考えられる薬剤耐性大腸菌を指標として、畜産農家付近地域と森林地域とで保有率の比較を行った。本研究結果から、畜産農家付近の本種糞便および環境試料における薬剤耐性大腸菌保有率は森林地域より有意に高く、さらに多剤耐性検出も高いことが明らかになった。検出された大腸菌の遺伝子型解析結果から土試料と本種糞便との遺伝子型の一致も見られ、人間生活からの薬剤耐性菌漏洩が希少種への感染に及び、さらにそれらが運搬者となって森林へ拡散してしまうリスクを提唱した。
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