研究課題/領域番号 |
19K06099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 京都大学 (2021) 独立行政法人国立科学博物館 (2019-2020) |
研究代表者 |
杉田 典正 京都大学, 理学研究科, 特定研究員 (20620876)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 博物館 / 標本 / 遺伝解析 / ミュゼオミクス / 保全 / 保全生物学 / 遺伝子汚染 / 移入 / 古代DNA / 遺伝的多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の博物館には、約百年前に日本各地で採集された多くの鳥類標本が保管されている。これらの標本にはDNA(古代DNA;以下aDNA)が残されており、このaDNAを分析すれば、現在では入手できない過去の遺伝情報を知ることができる。aDNAは過去と現在の遺伝情報を直接比較できるので、遺伝的多様性の経年変化の評価に強力なツールとなる。本研究では、鳥類の博物館標本を用いて、過去の遺伝的集団構造を復元し、過去から現在までの人間活動による野生生物への遺伝的な影響を推定する。野生生物の効果的な保全のために博物館標本の活用を試みる。
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研究成果の概要 |
キジ科の狩猟鳥は20世紀初期から資源保護のために放鳥されてきた。放鳥は鳥類の本来の遺伝的集団構造を撹乱した可能性がある。本研究では、対象種の約90年前の標本と現生個体群の遺伝情報を比較し、遺伝的多様性の時間経過における変遷の解明に取り組んだ。ミトコンドリアDNAの一部が分析された。約90年前の個体群では概ね地域ごとに特定のハプロタイプをもっていた。一方、現生個体群では距離の離れた地域間でハプロタイプを共有する傾向にあった。この変化の原因のひとつは過去の放鳥であると推測される。今後、より詳細に解析を進め対象種の効果的な保全管理を提案する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
国内の博物館には生物標本が数百万点保管されている。標本には形態情報や生息地情報など18世紀後半以降の日本の生物多様性情報が記録されている。しかし、DNA溶液の保存といった遺伝情報の蓄積が充実しはじめたのは21世紀以降であり、それ以前の標本では遺伝情報が欠落している状態である。本研究では、過去と現在の遺伝情報を比較することで時間経過における遺伝的多様性の変遷を明らかにした。本研究の成果は、標本を活用した生物多様性保全に貢献するとともに、生物多様性保全において標本の収集と保管管理の重要性を示した。
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