研究課題/領域番号 |
19K06101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
南條 楠土 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 講師 (70725126)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | マングローブ / 魚類生産 / 富栄養化 / 食物網 / 食物連鎖 / 安定同位体 / 生物生産 |
研究開始時の研究の概要 |
熱帯河口域は海洋生態系のなかで最も高い生物生産性を有するが,マングローブ伐採や富栄養化などによってその生産性は大きく損なわれている.しかし,魚類を含めた生物生産構造の実態は未だ把握されておらず,人為的改変がどのように作用して生産性低下をまねくのかは不明である.本研究では,熱帯河口域に生息する魚類の成長を支える生産者と栄養フローを特定し,魚類の二次生産量を野外実験や標識放流実験で直接定量することを試みる.これを天然河川,護岸河川,富栄養化河川の間で比較することで,生息場の改変がマングローブ水域の生物生産のどの過程に歪みを引き起こし,二次生産量を低下させるかを明らかにする.
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研究成果の概要 |
沖縄県八重山諸島における天然河川と富栄養河川のマングローブ域において,生息場の劣化が魚類生産構造に及ぼす影響を炭素・窒素安定同位体分析で検討した。天然河川では海洋性懸濁有機物や底生微細藻類(MPB)由来の有機物を利用する種だけでなく,マングローブや陸性懸濁有機物を利用する種も存在した。しかし,富栄養河川ではMPBを同化する種が多く,それらを起点とする栄養フローがより卓越していた。さらに,食物源,餌生物,魚類の窒素同位体比は天然河川に比べて顕著に高く,外部から流入した栄養塩により食物網全体の窒素同位体比が引き上げられることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により,富栄養化は流入する栄養塩に迅速に応答する生産者による栄養フローを卓越させるだけでなく,食物網全体の窒素源になり替わることで魚類を含めた生物生産構造に影響を及ぼすことが示唆された。マングローブ域は富栄養化を含めた生息場の劣化が著しく進行している海域であるため,こうした人為的改変による生態系の応答に関する知見を蓄積することが,より効果的な保全策の確立につながると考えられる。
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