研究課題/領域番号 |
19K06104
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
|
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
村上 健太郎 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00598386)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | ハードスケープ / ノベル生態系 / 擁壁 / 海崖植物 / シダ植物 / 外来植物 / 石垣 / ネイチャーポジティブ / ハードスケープハビタット / 和解生態学 / 石垣植生 / 壁 / 調和(和解)生態学 / 着生シダ植物 / 壁面緑化 / 景観生態学 / 新奇生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
人為的硬質構造物(ハードスケープ;例えば壁、石垣、建造物間隙)はもともと崖や露岩地あるいは林床にすんでいた生物の代替生育地になりうるが、日本ではそのような視点の研究は少ない。そこで、ハードスケープが動植物の高い種多様性を保持し稀少種の生育場所として機能しうるかについて野外調査(歴史的遺産の古いハードスケープやどこにでもある市街地のハードスケープなどを対象とした生物調査)と文献調査(ハードスケープに生物が生育するという事例の整理)から検討し、ハードスケープを用いた緑化や、都市緑地保全あるいは人工構造物保全に役立つ知見を得るための研究を行う。特に石垣等に生育するシダ植物に焦点を当てて研究する。
|
研究成果の概要 |
石垣や壁等の硬質人工構造物(ハードスケープ)が生物の生育地となり得るかについて検討した。市街地路傍のハードスケープを対象としたシダ植物群落調査では比較的,石垣の種多様性が高いことが明らかになった。都道府県版レッドデータブックで準絶滅危惧以上の指定種を稀少種と考えた場合,稀少シダ植物47種(日本産シダ植物全体の6.5%)が石垣を生育地としていることが明らかになった。在来海崖生植物についての野外調査においても擁壁・路面間隙を代替生育地とすることが明らかになった。ハードスケープは岩崖,森林等を本来の生育地とする種の生育地として機能し得る。これらは人工的なものであるが,生物多様性保全に活用すべきだ。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物多様性保全はこれまでも行われてきたが,ネイチャーポジティブ(生物多様性の低下を食い止める)には至っていない。その実現のためには,都市などの人為的撹乱の多い地域でも保全活動を推進すべきという指摘は多い。そこで,これまでむしろ生物多様性にネガティブな効果を及ぼすものとしてしか想定されていなかった壁などの硬質構造物に着目し,それらを生育場所とする植物を調査した結果,多くの希少植物(シダ植物及び海崖生植物)に活用可能性があると考えられた。壁,石垣,路面間隙などは人間の特性として「これからも都市に造成され続けるもの」であり,それらを生物多様性保全に逆に利用できる可能性が高いことを明らかにした。
|