研究課題/領域番号 |
19K06137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
木下 晃彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70533983)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 菌根菌 / 生物地理 / ゲノムワイドSNP / 集団遺伝学 / トリュフ / 集団遺伝 / 黒トリュフ / 栽培化 / 菌株 / 博物館標本 / 新産地 / MIG-seq |
研究開始時の研究の概要 |
日本国内には2種の黒トリュフ、アジア広域種のTuber himalayense と日本固有種のT. longispinosumが自生する。これらは日本列島がユーラシア大陸から分離する以前に樹木や動物と共に移動し、国内で分布拡大したと考えられるが、その過程は不明であり、きのこ類の生物地理、共生相手の日本の森林樹木種の多様性解明の上でも重要な知見となる。そこで本課題は、日本の黒トリュフの起源および2種の遺伝的多様性と集団遺伝構造を明らかにすることを目的とする。さらに2種は食用可能で、国内で栽培化を進めており、各発生地において菌株資源の収集を行うとともに、将来性を考慮した栽培好適地を提案する。
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研究成果の概要 |
日本国内のトリュフの分布について包括的に調査した研究は本研究が初めてである。解析対象とする標本収集にあたり、アジアクロセイヨウショウロは北海道から熊本県まで、一方、イボセイヨウショウロも北海道から鹿児島県まで合計25都道府県で発生することが明らかになった。北日本ではミズナラをはじめとする落葉広葉樹が主要な宿主だったのに対し、南西日本では落葉広葉樹が主な宿主であることが想定された。これら黒トリュフの集団遺伝解析の結果、黒トリュフは動植物と同じように、地理的な制約を受けており、最終氷河期での陸橋形成時の宿主の分散パターンが重要な影響を与えたのではないかと考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、胞子や菌糸などの繁殖体を長距離散布できないきのことして地下生菌であるトリュフを対象とし、国内の広範囲から収集した大量のサンプルを高い精度で解析することによって、日本列島へのきのこ類の移入や多様化の解明に貢献を果たした。またトリュフは樹木と共生する菌根菌のため、本成果は、宿主樹木の成立解明においても重要な知見になると予想される。近年、我が国でメディアや食品を通じて高級食材としての関心が向けられるが、生物的な側面に触れられることはほとんどない。本研究では、トリュフが長い時間をかけて大陸から列島に定着した生態的に重要な微生物であることを提示した。
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