研究課題/領域番号 |
19K06141
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
西村 尚之 群馬大学, 情報学部, 教授 (10387904)
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研究分担者 |
小山 泰弘 長野県林業総合センター, 育林部, 育林部長 (00450817)
鈴木 智之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (20633001)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 森林動態 / 伊勢湾台風 / 風倒撹乱 / ニホンジカ / 亜高山帯 / 倒木処理 / 更新 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は亜高山帯林における風倒撹乱とその後の人為干渉、さらに近年顕著にある獣害が景観スケールにおける林分更新過程に及ぼす影響を評価するために、1959年に中部地方を縦断した伊勢湾台風により大規模な風倒撹乱を被った林分の約60年経過した現在の更新状況を、風倒撹乱後の人為処理の差異を考慮して調査を実施する。本研究では亜高山帯針葉樹林の更新過程の基礎的情報である実生・稚樹の動態とシカ食害の程度を把握し、撹乱後の人為干渉に関連した樹木更新状態と獣害の景観依存性との関連性の解明、及び、景観スケールにおける将来の森林の推移過程の予測・評価を行う.
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研究実績の概要 |
亜高山帯針葉樹林における風倒撹乱後の人為干渉の差異とそれに関連したニホンジカの出現動向が景観スケールでの林分更新動態に及ぼす影響を評価するために、主要構成針葉樹種の更新状況やニホンジカの行動パターンと樹木被害との関連性に関する調査を2019年から継続しており、当該年度においては2022年6月に景観スケールでのニホンジカのおおよその出現動向を推定するために、調査対象地(麦草峠を中心とした半径約1.5km以内の茅野市北山・小海町稲子・佐久穂町八郡にまたがる地域)全体を網羅するように糞塊数の調査を行った。本調査対象地に50ヶ所の2m x 50mのトランゼクトを設置し、トランゼクト内の糞塊(一度の排出で出たと考えられるものを1糞塊とした)の数を数えた。その結果、糞塊はササ型林床で多く、コケ型林床で少なく、イネ科型林床ではその中間程度だった。さらに、同じ林床型でも風倒木を搬出した場所が広範囲にある西側地域で糞塊がより多かったことから約60年前の風倒木の搬出によって増えたササ地やイネ科型林床の場所が現在のシカの活動場所になっていたことから、風倒木処理が景観スケールでシカの分布に影響を与えていたと示唆された。また、2019年から継続している自動撮影カメラによるニホンジカの出現調査については2022年6月までの3年間の撮影画像解析を行った。林床草本の植被率が高いところでニホンジカの出現率が高く、ササ地でより出現率が高い傾向があり、一方でコケ型林床の場所では出現率が低かった。3年間で確認されたニホンジカ出現率とカメラ周辺の剥皮被害発生割合を調べたところ両者の間には明確な関係が認められなかったが、現在出現が少ないところにおいてもニホンジカによる過去の剥皮被害の痕跡を捉えることができたことから、過去において全域で確認できたニホンジカが現在では特定環境のみで棲息するように変化したものと推測できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題における最終成果目標の達成程度を考えると、調査対象林分は広範囲にわたることが望ましく、さらに、森林の更新に対する撹乱の影響がどの樹木更新ステージと関連性が大きいか、また、それが獣害によりどのような影響を受けるのか、ということを説明するためには、人為干渉の差異とニホンジカの動向の差異が組み合わされた複雑な環境条件での樹木更新の各ステージの現状を把握する必要がある。現在までこれらが把握できた調査内容としては、主要構成針葉樹種の初期更新動態、稚樹段階におけるニホンジカによる剥皮被害状況、林分維持の役割を成す成木段階の樹木群集動態である。なお、新型コロナウイルスの影響や分担者の異動の影響はかなりあったが、現在までの研究課題の進捗、特に、解析方法と解析結果の解釈、さらに、それを踏まえての今後の調査方針に関わる打ち合わせ会議等の開催を含めて早期の段階で年次進行計画を見直したため、目的を達成するための研究内容としては,論文作成を含めて総合的にみると現在までの進捗状況には大きな問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度においては新型コロナウイルスの影響はほとんどなく、研究代表者と分担者の役割分担に従って調査解析を実施したため、5年間にわたり実施される本研究課題の研究計画や内容はほぼ順調に進行しており、特別な推進方策は必要なく、これまでの研究調査内容を着実に継続して進める。また、林分更新動態に関する論文についてはすでに掲載予定が決まっており、さらに、ニホンジカの分布動向と樹木剥皮被害の関連性に関する論文についても原稿着手の状態となっており、当初想定した通りに研究成果の公表が進んでいる。一方で令和3年度までの新型コロナウイルスの影響により更新初期動態の論文作成がやや遅れており、令和5年度は最終年度にあたるため、研究期間内に着実に研究成果が公表できるように進捗スケジュールを調整する予定である。
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