研究課題/領域番号 |
19K06144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小野 裕 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (00231241)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 団粒 / 森林土壌 / 団粒再形成 / 野外培養 / 野外培養試験 / 団粒分析 / 土壌再生 / 孔隙組成 / 透水性 / 土壌攪乱 / 土壌微生物活性 / 土壌水分条件 |
研究開始時の研究の概要 |
良好な森林土壌では,表層に団粒と呼ばれる孔隙に富んだ構造が形成される。そのため,森林土壌は雨水をよく吸収し,河川流量を調整し,山地災害を抑制する。しかし,森林伐採やシカの踏み荒らしなどに伴う土壌攪乱により団粒が破壊されると,これらの働きは失われる。そこで本研究では,破壊された団粒の再形成を目的として野外試験と室内培養実験を行う。野外試験では,攪乱を受けたヒノキ林斜面に試験プロットを設置し,団粒の再形成過程を追跡調査する。室内培養実験では,団粒の再形成に必要な条件を検討する。これらの結果から,野外条件下における団粒再形成の可能性を検討し,さらに,団粒形成過程に影響する諸要因を明らかにする。
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研究成果の概要 |
土壌攪乱により破壊された団粒の再形成過程を明らかにするため,調整した団粒試料を用いた室内・野外培養実験を行った。室内培養実験では,培養4週で団粒の再形成が認められ,適度な乾燥-湿潤の繰り返しが団粒再形成に重要であることが明らかとなった。野外培養実験では,培養3-4週で団粒の再形成が認められ,培養試料表面の被覆が団粒再形成に伴う土壌物理性の向上に影響し,被覆がない条件下では土壌物理性の向上が阻害されることが明らかとなった。 以上から,団粒が比較的短期間で再形成されること,団粒の再形成過程において水分状態が影響すること,土壌物理性の向上には被覆による保護が重要であることなどが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
団粒が発達した森林土壌は浸透・透水性が高く,水土保全上重要な役割を担う。しかし近年,大型林業機械の導入が進み,土壌攪乱による団粒破壊に伴う森林土壌の水土保全機能の低下が危惧される。本研究では攪乱された土壌の再生を目標に,破壊された団粒の再生に関して,その可能性や,再生に関わる要因や必要な時間に関して検討した。その結果,野外条件下においても団粒が短期間で再生すること,団粒の再生には適度な乾燥と湿潤の繰り返しが重要であること,団粒再成に伴う土壌物理性の回復には土壌表面の被覆が重要な役割を果たすことなどが明らかになった。これらの知見は土壌再生に向けた今後の取り組みの大きな指針となるものである。
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