研究課題/領域番号 |
19K06151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
日野 輝明 名城大学, 農学部, 教授 (80212166)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ニホンジカ / ミヤコザサ / ジプシー効果 / 森林再生 / 森林生態系 / 土壌動物相 / オサムシ群集 / 周期的変動 / 平衡状態 / 個体数調整 / 大台ヶ原 / オサムシ / 土壌動物 / レガシー効果 / 土壌特性 / レジームシフト / レジリエンス / 長期研究 |
研究開始時の研究の概要 |
ニホンジカの個体数調整によって個体数を大幅に低下させたにもかかわらず、森林の植生や生態系の回復が進まないレガシー効果が問題になっている.シカ低密度化後の生態系回復の可否やその速度は,植生タイプやシカ高密度期間などのさまざまが要因によって変わってくると予想される.本研究では,申請者が22年間にわたって継続調査を行っている植生タイプや地形の異なる地点間で,高密度状態から低密度状態に至るまでのシカ密度,林床植生,樹木実生,土壌,動物群集の変化を比較分析することで,レガシー効果の程度とその要因の違いを明らかにする.また,地点ごとにその程度と原因に応じた回復手段を実験的に実施し,その効果検証を行う.
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、個体数調整にともなってニホンジカ密度が低下した状態での植生、土壌、動物相を調べることで高密度状態からの変化を明らかにすることである。シカの推定平均密度は4分の1程度に減少したが,ササ現存量との関係は正の直線的関係から10頭/km2の密度前後で最大となる山型の曲線的関係に変化した.その結果,シカ密度が高くてササ現存量の低い場所での樹木実生の生存率が増加した.その一方で,ササ現存量の減少は土壌栄養分供給低下によって実生生存率を減少させた.したがって,シカ密度とササ現存量と樹木実生との間のこれらの複雑な関係によって,シカ減少による森林再生は時間がかかることが予想される.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では,シカの高密度状態から低密度状態への変化にともなう林床植生,樹木実生,土壌,動物群集の変化の調査によって,シカ密度とササ現存量との間の平衡関係の崩壊とそれにともなう実生生存率の変化,ササが実生におよぼす被圧による負の影響とリター供給による正の効果などの複雑な相互関係を明らかにした.また,シカ密度とササ現存量との間には,遅れをともなう周期的な変動があることを,植食者と植物との間で初めて明らかにした.これらの研究成果は申請者が現地で25年間にわたって行ってきた長期的なデータの蓄積によって初めて可能になったものであり,学術的および保全生物学的な意義は高い.
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