研究課題/領域番号 |
19K06161
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
重冨 顕吾 北海道大学, 農学研究院, 講師 (20547202)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ムコン酸 / ベラトリルアルコール / 白色腐朽菌 / カテコールジオキシゲナーゼ / フェニルアラニン / アロゲン酸 / 単一炭素源 / フェニルアラニンアンモニアリアーゼ / Lignin / White rot fungi / Aromatic compound |
研究開始時の研究の概要 |
リグニンは地球上で2番目に豊富に存在する生物資源であり、その利用法の確立は持続可能な社会の実現に向けた最重要課題のひとつである。リグニンの分解者である白色腐朽菌は、リグニンの複雑系を解消し新たな利用法を確立する鍵となるが、白色腐朽菌による低分子芳香族化合物の取り回しに関しては未解明な点が多い。本課題では白色腐朽菌と低分子芳香族化合物との関連性について2つの疑問を明らかにすることを目的とする。第一に白色腐朽菌がリグニン分解により生じた低分子芳香族化合物を資化しているか検証を行い、第二に白色腐朽菌自身が産生する芳香族化合物、ベラトリルアルコールがどのように生合成されているかについて解明に取り組む。
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研究成果の概要 |
きのこの一種である白色腐朽菌は、木材を構成する芳香族系高分子「リグニン」を完全分解する唯一の生物である。このため時に白色腐朽菌はリグニンを「食べる(=資化する)」と形容されることもあるが、実際にこれらがリグニンを食べるのかは明らかにされていなかった。本研究では白色腐朽菌が、自身の生産する低分子芳香族化合物であるベラトリルアルコールをムコン酸類に変換することで資化できることを明らかにした。このことは、リグニンについても同様にムコン酸を経ることでその一部を「食べる」ことが出来ること示唆するものである。また、ムコン酸の形成過程は従来知られていた細菌類とは異なる経路であることも示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
白色腐朽菌の持つ「リグニン分解」という作用はエネルギー収支の観点から、不合理なものであることが指摘されていた(Leisolaら, 2012)。即ちリグニンを分解するためには等量のグルコースが必要であるため、「糖をエネルギー源として獲得するためにリグニンを分解する」という従来の捉え方は辻褄が合わないというものである。本研究の結果は、白色腐朽菌が低分子化したリグニンをもエネルギー源とできることを示唆した。この結果は白色腐朽菌のエネルギーの取り回しについて明らかにしたという点で学術的な意義があるのみではなく、きのこの育種における基礎的な知見を与えたという点で社会的意義の大きなものである。
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