研究課題/領域番号 |
19K06162
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
関野 登 岩手大学, 農学部, 教授 (30171341)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 廃菌床 / 熱伝導率 / 熱伝導モデル / 半炭化 / 圧縮乾燥 / 機械的性質 / 断熱性 / 粗空隙 / 強度性能 / 質量減少率 / 断熱材 / 剥離強度 / 圧縮性能 / 空隙構造 / シイタケ廃菌床 / 木質系断熱材 / 半炭化処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、広葉樹チップを用いたシイタケ菌床栽培で排出される廃菌床を、新たな木質系断熱材に転換する基礎技術の研究である。このタイプの廃菌床では、菌糸によるチップ同士の接着,木材腐朽による細胞壁内の微細クラックの形成、という特性をもつ。木質系断熱材設計の視点から、前者は接着剤不要のチップブロックの形成、後者は最も熱が伝わりやすい細胞壁の断熱化と言え、廃菌床は断熱材に相応しいポテンシャルをもつと考えられる。そこで本研究では、そのポテンシャルを熱伝導率および各種強度性能などから調べるとともに、半炭化処理(トレファクション)を適用して更なる断熱性の向上を試みる。
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研究成果の概要 |
廃菌床の断熱材としての利用可能性を探るため、熱伝導率、強度、半炭化による断熱性改善の可能性、断熱性の発現メカニズムを調べた。廃菌床をそのままの寸法状態で乾燥させた場合(密度200kg/m3程度)、熱伝導率は0.05W/mKで断熱性は良好であったが、強度は軟質繊維板の半分以下となった。半炭化による断熱性向上と強度低下のトレードオフ関係を木材で調べた結果、約15%の熱伝導率低下で強度は半減した。この結果より、強度の低い廃菌床への半炭化は不適と判断され、別の手法として圧縮乾燥を採用した。圧縮乾燥で得た密度範囲200~600kg/m3の廃菌床は、その熱伝導率が木材とほぼ同等であることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究ではミズナラチップを菌床とするシイタケ収穫後の廃菌床を圧縮乾燥させ、その密度と熱伝導率の関係を調べ、その関係が木材とほぼ同様であることを明らかにした。廃菌床は、シイタケ収穫により木質の約7割の質量損失が生じ、菌糸と腐朽残渣の混在体となっている。これを圧縮乾燥した成形体が木材と同等の断熱性能を発揮したことは、廃菌床の有効活用に資する知見と言える。また、熱伝導モデルの適用により、熱橋となる実質の熱伝導率の大小関係(木材<廃菌床(腐朽残渣+菌糸)<菌糸)を得ており、新たな知見として学術的な意義を持つと言える。
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