研究課題/領域番号 |
19K06197
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
本多 健太郎 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(札幌), 主任研究員 (00720707)
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研究分担者 |
長谷川 功 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(札幌), 主任研究員 (00603325)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | サケ稚魚 / 被食 / テレメトリー / ふ化放流 / ブラウントラウト |
研究開始時の研究の概要 |
近年サケ稚魚の多くが河川でも減耗することが指摘され、高次捕食者による捕食の影響が懸念されている。本研究では北海道石狩川水系千歳川を舞台に、高次捕食者である大型のサケ科魚類が、サケ稚魚が大量に放流される地点に蝟集することを超音波テレメトリーによる行動追跡で明らかにする。同時に、胃内容物を定期的に調べることでサケ稚魚の捕食状況を確認する。捕食者の蝟集要因がサケ稚魚の存在であるという仮説を検証するために、稚魚の飼育・放流状況と捕食者の行動の関係を明らかにすることに加え、サケ稚魚由来の化学的な刺激に捕食者が誘引されるかどうかを飼育実験で調べる。
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研究実績の概要 |
北海道石狩川水系千歳川において、大型サケ科魚類がサケ稚魚放流期に放流地点付近に広域から蝟集するかどうかを調べるため、 2019年・2020年の秋に超音波発信器を装着・放流した計35尾の大型サケ科魚類(主にブラウントラウト)の行動追跡を2022年5月まで継続した。6月に河川内に設置していた超音波受信機をすべて回収し、データを解析した。結果、調査期間を通じてサケ稚魚放流期に放流地点付近に出現した個体は一尾も確認されなかった。3シーズンに亘る潜水目視調査の結果からも、サケ稚魚放流期に放流地点付近でブラウントラウトの数が増加することはなく、その他の時期でも大きな増減は見られなかった。よって、当初の仮説とは異なるものの、ブラウントラウトがサケ稚魚放流地点に広域から集まらないことが明らかになった。一方、サケ稚魚放流期に放流地点から約10km下流域で捕獲したブラウントラウトの多くが捕獲前日に放流したサケ稚魚を大量(>100尾)に捕食していたことが、胃内から抽出したサケ稚魚の耳石標識を確認した結果から明らかになった。以上より、サケ稚魚は放流後短期間で降下し、ブラウントラウトは放流地点付近まで遡上せず下流で待っていても十分な餌にありつけることが蝟集しない理由と考えられた。 また、超音波テレメトリーで追跡したブラウントラウトの季節移動として、千歳川と約40km離れた石狩川本流とを往来した個体が確認された一方で、特定の場所に数ヵ月間滞在し続けた個体も確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブラウントラウトを主とした大型サケ科魚類がサケ稚魚放流地点付近に集まらないことを、そのもっともらしい理由と併せて示すことができた。研究成果の公表状況も踏まえ、「おおむね順調」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果からブラウントラウトはサケ稚魚を大量に捕食することが明らかになった。今後はこのことがブラウントラウトの栄養状態にどのように反映されるのかを明らかにすべく研究を進める。
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