研究課題/領域番号 |
19K06237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田川 正朋 京都大学, 農学研究科, 准教授 (20226947)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ヒラメ / カレイ類 / 無眼側黒化 / 網敷飼育 / ストレス / コルチゾル / 短躯症 / 性比の偏り / マツカワ / 砂敷飼育 / 血管黒化 / 白化個体 / 成長速度依存性 / ワキン / 黒化 / 原因遺伝子 / 浮遊期飼育密度 / 黒ソブ / ヒラメ・カレイ類 / ストレス-コルチゾル系 / 網敷き飼育 / 共食い / キンギョ / 性比のかたより / ストレスーコルチゾル系 / 顎骨異常 / 性比の正常化 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒラメ等では、白いはずの体の裏側が黒くなる黒化という現象が高頻度で起こってしまう。我々はヒラメを用いて、小規模水槽では底に網を敷くと黒化を防げることや、ストレスが黒化を促進すること、黒化の個体差には卵の由来が関与している可能性などを見いだした。本研究では、網敷き飼育を増養殖現場の大水槽や他のカレイ類へ応用するための改良、および卵の由来の最適化によってもともと黒化を出にくくすることを試みる。一方、性比のオスへの偏りや寸詰まりの体型がカレイ類等の各種の飼育魚で知られており、ストレスの関与が示唆されている。そこで、ストレスによって分泌されるコルチゾルが黒化やこれらの異常の共通原因か検証する。
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研究成果の概要 |
養殖されたヒラメでは、無眼側に黒色部分が出現する黒化が知られている。本研究では、この黒化は、水槽底面の50%程度を覆う大きさのザラザラした底質を敷くことで、ほぼ防除できることを明らかにした。その一方で、きわめて強い遺伝的影響により発現する黒化の存在も明らかとなり、黒化の原因遺伝子、すなわち正常な白い無眼側の維持に必須の遺伝子の特定に道が開かれた。ヒラメに限らず飼育魚では、その他にも天然魚にはない好ましくない現象が知られる。マツカワやキンギョの体表の黒化、シロギスの短躯症、マツカワにおける性比の雄への偏りなどでは、いずれも飼育下で想定されるストレスがこれらの原因となっている可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
養殖ヒラメは裏側にも黒色部分があるため、皮をひいた状態で消費者に届くルートで流通していると考えられる。本研究で開発した黒化の防除法は、養殖現場の大水槽に容易に応用できる。今後、裏側のきれいな養殖ヒラメが生産できるようになると、供給量や品質の安定している養殖ヒラメの価格競争力がさらに高まると期待できる。また、本研究によってヒラメの非対称性のカギとなる遺伝子の特定に道を開くことができた。さらに、飼育魚だけに見られる様々な好ましくない現象には、飼育自身によるストレスが原因となっている例が複数明らかとなった。このことは、ストレス軽減こそが、より良い飼育魚を育てるための基本戦略となりうることが示せた。
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