研究課題/領域番号 |
19K06238
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
田角 聡志 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (90359646)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 宿主認識 / 寄生虫 / 糖鎖 / 魚類 / 宿主特異性 / 魚類寄生虫 / 宿主認識機構 / CRISPR/Cas9 |
研究開始時の研究の概要 |
養殖魚の寄生虫症は対処の難しいものである。その一因として、寄生虫がどのようにして宿主を認識しているのか、その仕組みの理解が不十分であることが挙げられる。トラフグのエラに寄生するエラムシは、寄生の第一段階ではそれほど厳密に宿主を認識していないが、その後トラフグ(=宿主)では寄生を継続できるものの、クサフグ(=非宿主)ではできない。両種のエラの表面に存在する糖鎖の組成に大きな違いがみられたことから、糖鎖が寄生虫の宿主特異性をもたらす因子なのではないだろうかと考えられた。本研究はこの仮説を検証することにより、魚類の寄生虫の宿主認識に糖鎖が関与していることを明らかにすることを目指す。
|
研究成果の概要 |
トラフグ属魚類の複数魚種と、トラフグにしか寄生しない単生類Heterobothrium okamotoiとの組み合わせに着目し、魚類寄生虫の宿主認識機構を明らかにすることを目指した。寄生組織である鰓におけるL-フコースの存在様式と、人為的感染後の虫体の脱落の様子との関連を調べたところ、L-フコースの存在量が多い種ほど、暴露直後に着定していた虫体はより速やかに脱落する傾向にあることが示された。L-フコースの宿主認識への関与を証明するために、糖鎖の生成に関与する酵素の一つ、フコシルトランスフェラーゼ遺伝子の機能を失ったクサフグの家系を複数作出した。今後、感染実験により直接的に証明する予定である。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
魚類寄生虫の宿主認識の分子機構はこれまでほとんど解明されていない。本研究では、宿主特異性の極めて高い寄生虫とその宿主および近縁種を用いた比較研究を行うことによって、L-フコースが重要な役割を果たしている可能性が高いことを示した。さらに、遺伝子編集技術を用い、フコシルトランスフェラーゼ遺伝子の機能を欠失しうる個体の作出も行った。交配に要する時間的制約により、直接的証明には至らなかったが、今後これらの家系を用いて我々の仮説を証明してゆく予定である。宿主認識に関与する分子が特定できれば、学術的に重要な知見が得られるだけでなく、予防薬や予防方法の開発につながり、社会的にも貢献できることが期待される。
|