研究課題/領域番号 |
19K06267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 農林水産省農林水産政策研究所 |
研究代表者 |
須田 文明 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (70356327)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | テリトーリオ / テロワール / イタリア / フランス / 地域食料プロジェクトPAT / リーダー事業 / メトロポール / リアリティのテスト / 質素倹約社会 / 食料主権 / コロナ禍 / ウクライナ戦争 / 脱炭素 / 農業 / 規格化 / 地域食料プロジェクト / ルーラル・ジェントリフィケーション / 地域 / 地産地消 / 都市食料主権 / キャンティ / 規格による統治 / 親密性のレジーム / プラグマティック社会学 / プロジェクトの階級 / 人新世 / コンヴァンシオン / コモンズ / フランス農業 / 規格 / アクターネットワーク理論 |
研究開始時の研究の概要 |
フランスにおいて、規格化に基づいたガバナンス手法が食品安全政策の他、地理的表示、有機認証、農村振興政策等で普及している。近年、量販店PB商品がますますテロワールを謳い、食品安全・環境にかかる独自の規格を増殖しつつある。本研究課題は、農業農村振興における規格による統治の普及と、地域の「資源としてのアイデンティティ」を構成している親密空間との相克が、いかなるイノベーションをもたらすかを、フランスの「テロワール」産品と地域食料システムの構築を事例に解明する。本研究が依拠する理論はフランスにおいて展開されている、L.テヴノーらのプラグマティック社会学を中心とし、アクターネットワーク理論を適宜活用する。
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研究実績の概要 |
フランスにおける持続可能な農業システムについて現地調査を行なった。具体的にはセヴェンヌ・コース地方で、セヴェンヌ国立公園事務局などにて、ユネスコ世界遺産に登録された「移牧」の保護や継承について、セヴェンヌ地方で農業省加工研修所で地元の農業者や新規就農者への農産品の加工研修の実施状況、水産養殖研修所でのマスの養殖を通じた地産地消活動の展開などの取り組みについて研修担当者からの聞き取りを行なった。近年新たに地理的表示を取得した「セヴェンヌのクリ」(PDO)の生産者から聞き取りを行なった。この都会出身の生産者は祖父母の経営を取得し、農泊などの多角化に取り組んでいる。 サヴォワ県シャンベリーにて県の農業、地域振興担当者より「地域食料プロジェクトPAT」の実施について聞き取り調査を行なった。同県ではボーフォールチーズがすでに優良事例として研究されているが、同県のPATの取り組みは、地域診断により、酪農以外の野菜や養鶏など、地域の食料自給を達成すべき作目を中心に支援することとしている。また欧州農村振興政策にかかるリーダーLEADER事業の実施について同県での二つのローカル・アクション・グループ(モーリエンヌ、タランテーズ地方)のコーディネーターからの聞き取り調査を行なった。 研究成果としてはイタリアの都市農業について書籍の1つの章を執筆した。「テリトーリオへの帰還:イタリアにおけるコモン(ズ)としての都市農園」(木村、陣内編著『南イタリアの食とテリトーリオ:農業が社会を変える』、白桃書房、2024年3月)。またフランスの持続可能な食料システムについて、研究ノートを執筆した。「フランスにおける永続的農業近代化:メトロポールによる食料農業政策」(『総合政策』25巻、2024年3月)。 イタリアとフランスの二つの論考を通じて、地域レベルでのアグロエコロジー的移行について実態を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
円安の動向を見極め、いずれ落ち着くことであろうと、たかを括っていたため、現地調査の時期を逸してしまった。その結果、文献調査を中心とした研究にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年2月-3月に1ヶ月ほどにわたりフランスでの現地調査を行なった。その調査の取りまとめを中心に、2025年3月までに研究成果を公表する予定である。
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