研究課題/領域番号 |
19K06268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
東山 寛 北海道大学, 農学研究院, 教授 (60279502)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 北海道農業 / 労働力確保 / 労働力支援 / 外国人材 / 技能実習 / 特定技能 / 特的技能外国人 / 営農支援 / 農協 / コントラクター / 新たな給源 / 農福連携 / 労働力確保対応 / 省力化対応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「北海道農業における労働力支援の類型と総合的な労働力確保対策の構築に関する研究」と題する。労働力支援は、北海道農業の今後の展開を見通す上で最重要の課題のひとつである。本研究は、従来型の雇用労働力の確保ルートが閉塞状態に陥るなか、新たな「給源」を見出し、労働力確保対策を構築しようとする地域や農業者の積極的な取り組みが、最近3~4年の間に起動している動きに着目している。本研究ではそうした動きをさしあたり6つの「類型」として括って整理した上で、今後数年間の継続的な実態調査にもとづいて、その有効性と他地域への波及可能性を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、北海道農業の今後の展開を見通す上で、最重要の課題が労働力支援であるとの認識に立ち、テーマに掲げる「総合的な労働力確保対策の構築」に結びつくような示唆を得ることを目的としている。 ここでの労働力確保とは、家族経営の場合の家族労働力、法人経営の場合の役員・構成員とは別に、農業に特有の農繁期のピークを乗り切るために確保する雇用労働力を指している。従来、雇用労働力の確保は農村労働力市場に依存していた面が大きいが、その給源が枯渇しつつあることが問題の焦点である。そこで、新たな給源を見出し、支援体制を構築しようとする地域の動きが生まれていることに本研究は注目してきた。 本研究の出発点においては、そうした地域の動きを類型化しようと考えていたが、本年度は外国人材の確保に焦点を当てて調査研究を行った。その際、調査研究の切り口は、少なくともふたつあるように思われた。 ひとつは、コロナ禍の影響である。本研究はコロナ直前の2019年度から開始しており、その後3年間にわたるコロナ禍と、外国人に対する入国制限(および出国制限)の影響は強烈である。すでに技能実習生を中心として外国人材を積極的に受け入れてきた地域が、実際にどのような影響を受け、どのように変わりつつあるのか、コロナ禍3年目を迎えた本年度において中間的な総活を試みた。 もうひとつは、新たな在留資格である特定技能制度が、農業分野でどのように導入・活用されているのかを把握することである。特定技能制度の創設は2019年であり、本年度で4年目を迎える。ここでもコロナ禍の影響は免れないが、北海道における在籍人数は結果的に増えており、2022年10月時点で800名を超えるに至った。加えて、農業分野では派遣形態の雇用が認められており、数ヶ月単位で就業場所を全国単位で移動するリレー派遣が行われていることも、実態調査を通じて確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、北海道農業の今後の展開を見通す上で、最重要の課題が労働力支援であるとの認識に立ち、テーマに掲げる「総合的な労働力確保対策の構築」に結びつくような示唆を得ることを目的としている。本研究の出発点においては、新たな雇用労働力の給源を見出し、労働力支援体制を構築しようとしている地域の動きを類型化しようと考えていたが、その方向は外国人材の積極的な受け入れに収れんしつつある。そこで、開始4年目を迎える本年度においては、北海道内の横断的調査を通じて、外国人材の受け入れ方式に着目した類型化を行うめどをつけることができた。具体的には、①従来とそれほど変わらないかたちで技能実習生の受け入れを継続している地域、②農協が技能実習生の直接雇用を行う方式(いわゆる農協方式)、③新たな在留資格である特定技能外国人の直接雇用方式、④特定技能外国人を派遣形態で受け入れるリレー派遣方式、等である。本研究の開始時点では想定していなかったが、外国人材の受け入れにかかわる「多様性」と「広がり」を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は本研究の最終年にあたるため、5年間にわたる本研究の取りまとめを行う予定である。本研究は、北海道農業の今後の展開を見通す上で、最重要の課題が労働力支援であるとの認識に立ち、テーマに掲げる「総合的な労働力確保対策の構築」に結びつくような示唆を得ることを目的としている。研究開始から4年目にあたる2022年度に北海道内の横断的な調査を実施、新たな労働力支援体制の構築は外国人材の積極的な受け入れに収れんしつつあることが確認できた。そこで2023年度は、外国人材の受け入れにかかわる地域類型を想定し、取りまとめに向けた実態調査を継続的に実施する。概略は次の通りである。①従来とそれほど変わらないかたちで技能実習生の受け入れを継続し、農家が通年雇用している地域(平取町など)。②農協が技能実習生の直接雇用を行い(いわゆる農協方式)、農家の圃場作業を請け負っている地域(小清水町、JAきたみらい等)。③新たな在留資格である特定技能外国人を直接雇用している方式(JAようてい等)。④特定技能外国人を派遣形態で受け入れるリレー派遣方式(斜里町など)。また、この④に関連して、全国単位の産地間連携という枠組みを活用し、日本人スタッフのリレー就業を意識的に構築している地域(JAふらの等)を併せて調査しておきたい。以上を通じて、外国人材の受け入れを中心とした労働力支援体制の構築が、北海道農業の各地域でどのように進められているのかを明らかにすることに本研究の焦点を置きたい。その際、現場レベルで生じている問題点も含めて実態把握を行い、より良い制度設計に向けた積極的な発信を行いたい。
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