研究課題/領域番号 |
19K06277
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 教授 (60301355)
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研究分担者 |
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 名誉教授 (60176386)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 農的自然 / 高齢者 / リスク / 生業 / 高齢化 / 担い手 / ケア / マイナーサブシステンス / ポスト人口転換期 / 生産物 / 過少利用問題 |
研究開始時の研究の概要 |
農林業や生活のなかで利用されてきた自然、つまり「農的」自然については、水源涵養や国土保全などの公的機能を有していることが評価され、世界農業遺産の創設など、社会的にも価値が見直されているが、その利用管理を担ってきた農山村については、管理能力の衰退が指摘されてきた。ほんとうにそうだろうか。 本研究は、ポスト人口転換期における「農的」自然に、現在、誰がどのようにかかわっているのかについて、統計資料などを用いて動向をさぐるとともに、それには現れないような、小規模ではあるが、多数の人によって行われている(続けられてきた)活動に着目した実態把握および経時的な変化の把握をおこなうことである。
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研究実績の概要 |
2022年度は、現地調査と資料整理を行った。 現地調査としては、昨年度に引き続き、海の生業についての調査を行った。有明海沿岸部漁村で構造的面接法による聞き取り調査を行った。調査地域は、有明海の筑後川左岸部分を水文学的に4区分し、それぞれの地区において、海苔養殖開始当時から漁業を営んできた高齢世代(70代~80代)を対象に、以下の点についての調査を行った。①海苔養殖開始以前の海の状況や漁業、生業、マイナーサブシステンスとしての海の利用、②海苔養殖への参入の有無とその経緯、③時代による経営や海の状況の変化、海苔養殖と他の漁業や農業との関係(環境面や労働力の側面から)、④漁業の継承について、などについて聞き取りを行った。一方で、有明海に注ぎ込む川の流域にある内陸部での予定していた聞き取り(水門管理、上流部での生業などに関すること)は調査を進めることができなかった。 資料整理については、漁業センサス開始時からの海の利用(有明海)を開始するとともに、(海苔や有明海での漁業や環境にかかわる事業や漁業の試みに関する)関連資料も収集している。 関連する成果としては、汽水域シンポジウム(11月:佐賀市)で、有明海調査にかかわるポスター発表を行った。また、山本務編『よくわかる地域社会学』(ミネルヴァ書房,42-61)において、「環境と農的世界─農的自然と農村の生活」と題された章を担当し、その中に、2021年度までの研究内容を「農的自然」のそれぞれの例としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までの計画の遅れにともない、予定どおりに研究を完成させることができなかった。とくに、資料の所在はあきらかにしたものの、整理を進めることができなかった。また、2022年度は有明海の海苔の記録的な品質低下が生じ、海苔漁業者への聞き取りが制限された。代表および分担者のそれぞれの個人的理由(家族の健康問題など)にともない、研究者と分担者が協議する時間をもつことができず、遅れをカバーすることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終的なまとめに向けて、資料の整理と分析および、前年度までにできなかった調査をおこない、他の研究課題での議論とも結びつけながら、課題についてまとめる。
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