研究課題/領域番号 |
19K06283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
安江 紘幸 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 主任研究員 (40508248)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 篤農技術 / 小集団活動 / 技術普及 / 技術習得 / 採用者カテゴリー / 新技術の導入行動 / 意思決定 |
研究開始時の研究の概要 |
新技術の伝播過程に関する研究は、意思決定プロセスと新技術の採用者分類が着目されてきた。特に採用者分類については、初期導入者が技術導入の普及促進に向けた重要な情報発信者となり普及速度を加速化すること、また後期採用者が技術革新への助言や情報を初期採用者から入手するため新技術導入までの期間が短縮されることが指摘されている。しかし、新技術として篤農技術に着目した採用者分類や篤農技術の習得を目的とした小集団活動の有用性についての実証研究は少ない。 そこで本研究では、水稲の篤農技術に着目した採用時期別の意思決定プロセスの解明に取り組むとともに、小集団での採用者の相互干渉が技術習得に与える影響を解明する。
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研究実績の概要 |
今年度は、篤農技術採用者の小集団における相互干渉に着目し、次の2点を明らかにした。一つは、初期導入者が篤農技術の普及促進における情報発信者にならず、資材メーカー等が普及速度を加速化させる要因である可能性を明らかにした。もう一つは、後期採用者は、同じ篤農技術を導入する者同士の小集団活動を通じて、技術革新への助言や情報を初期採用者から入手することで、新技術導入までの試行期間が初期採用者と比べて短縮される可能性を明らかにした。いずれについても調査方法は、篤農技術採用者が集まる全国規模の研修会への参与観察および初期採用者への非構造化面接を採用した。さらに、篤農技術を採用し、その技術習得を目指す者同士がお互いの米を評価することで、自らの技術習熟程度を把握したり、相互干渉に影響があるかを食味官能試験と理化学分析を合わせた食味調査会を通じて検証した。昨年度に引き続き食味評価には、東北地方:初期採用者(秋田県産あきたこまち)、関東地方:初期採用者(茨城県産コシヒカリ)、中部地方:後期採用者(長野県産コシヒカリ)・若手後期採用者(長野県産コシヒカリ)、初期採用者(新潟県コシヒカリ)、近畿地方:初期採用者(滋賀県産にじのきらめき)、中国地方:後期採用者(山口県コシヒカリ)、九州地方:後期採用者(鹿児島県産にこまる)を対照として、基準米に滋賀県産日本晴れ(令和3年度産)を用いて実施した。今回の食味評価では、若手後期採用者の方が初期採用者よりも高い評価を得ている。特筆すべき点は、若手後期採用者は、3年間継続してトップの評価を得たことである。逆に、初期採用者は、毎年評価(総合評価、整粒度、食味値)を下げる結果となっている。このことは、コロナの影響により篤農家による対面での技術支援ができなかったことが影響していることが考えられるが、実践面からみると採用年数が経っても習熟が難しいことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初期採用者や後期採用者に対する複数回の構造化面接を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により実施することができていないため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に予定していた篤農技術採用者に対する構造化面接を実施できなかったことから、次年度に調査旅費を充当して実施する。
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