研究課題/領域番号 |
19K06294
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
九鬼 康彰 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (60303872)
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研究分担者 |
内川 義行 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (20324238)
田村 孝浩 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (20341729)
中島 正裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80436675)
新田 将之 東洋大学, 理工学部, 助教 (00843781)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 集落活動 / 継承 / 時間軸 / プロセス / 農泊 / 機能分化 / 市民農園 / 計画書 / テキストマイニング / マネジメントサイクル / アンケート / 新型コロナウィルス / 甲良町 / 集落計画 / 親水空間整備 / 維持管理 / 内容分析 / 小規模集落 / 関係人口 / 計画管理 / 条例 / 土地利用計画 / 住民意識 / 継続性 / 地区計画 / 住民主導 / 多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では集落から校区を範囲とする市町村条例に基づくむらづくりを対象に,計画-実施の主体や作成された計画の内容,また計画実施のための措置やマネジメントサイクルを分析して住民主導の計画の方法論を完成させる。 研究の方法としては,計画-実施プロセス全体を制度論,組織論,機能論,構造論,過程論,連携論,管理論の7つの視点に切り分けて分析し,それぞれの結果から計画の方法論を構成する制度設計と主体,計画,作成プロセス,周辺環境,マネジメントサイクル,の各要素の特徴を解明する。 主たる調査方法としては行政担当者や住民,支援組織等に対する聞き取り調査やアンケート調査,また行政資料や計画書の内容分析を行う。
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研究実績の概要 |
九鬼は引き続き,2021年12月に実施した全国547の地域協議会を対象とするアンケート調査の詳細分析を行った.農泊開始時期の古い地域協議会と新しい地域協議会では体験プログラムの傾向に違いがみられるとともに,新しい協議会では収益性を重視している傾向が看取された.また近年の協議会は集客斡旋機能をもたないなど分業化・専門化が進み,集落の協力を必要としなくなっていることを明らかにした. また後継者世代の価値観の多様化に伴い集落活動の継承が困難化している状況で,慣習ではなく“伝統のつくりかえ”による継承が模索されている.しかしその計画論に関する事例がないことから,中島は滋賀県甲良町法養寺集落を対象に,継承に関する概念の整理と住民への意識調査,ワークショップによる実践支援という3つの段階的アプローチにより,集落活動の継承に関する実践的課題の抽出と大学の支援のあり方を検証した. さらに新田は滋賀県甲良町における集落単位の地域づくりを事例に過去約50年間のプロセスを把握し,4つの時期に分類して地域づくりの観点から計画要素を検討した.その結果,黎明期は住民の「気づき・意識共有」が図られ,ハード整備期は「計画・施工・合意形成技能」が専門家関与の下に獲得された.続くソフト整備期は「仕組みの法令化」が図られた.また「継承期」は世代交代を受けて「仕組みの形骸化」が確認され,これを受けて集落懇談会による「意識共有」が図られた.これらの整理から約30年を1サイクルとした計画の時間軸があることが推察された. 一方,内川は長野県上伊那地域の8市町村において,農村住民の生活環境の充実を目指した市民農園の用地選定に関する事例調査を実施した.その結果,対象地域の12農園の用地選定要因は不良農地の活用・救済とアクセスのし易さ,隣接施設との関連の3つに分類され,これらは農園の配置計画における指標となる可能性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は実施計画であげた事例対象地において,計画の評価・更新といった局面に関する詳細なインタビューを複数回実施する予定であった.しかし昨年度に引き続いて新型コロナウィルスの感染拡大の波が起き,地方において行動制限は発令されなかったものの,調査のコーディネート等で重要となる地方自治体と地元組織の応対不能が断続的に生じた.また研究組織のメンバーの所属機関が定める調査出張への規制も継続され,現地調査を主体とする本研究の遂行は4年目も直接的な被害を受けた.
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今後の研究の推進方策 |
2023年5月に新型コロナウィルスの感染法上の位置づけが変更され,予定する調査の実行を妨げる要因は払拭されるものと期待される.そこで,基本的にはこれまで実施できなかった現地調査の実施を第一に考え,その準備を進める.また最終年度にあたることから,研究組織内でのディスカッションの機会を増やし,それぞれが得た知見のブラッシュアップを図る.なお研究組織の一部メンバーに所属機関の変更が生じていることから,必ずしも新規の調査の実施を求めない代わりに成果投稿への注力を支援するなどの配慮を図る.
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