研究課題/領域番号 |
19K06297
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
綱島 洋之 大阪公立大学, 都市科学・防災研究センター, 特任講師 (10571185)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 農的福祉力 / 美的経験 / 食農教育 / 園芸福祉・療法 / 社会福祉 / 社会福祉本質論争 / 社会福祉の対象論 / 農業技術 / Social/care farming / Urban farming/gardening / 社会的包摂における技能の位置づけ / 自律的な農作業 |
研究開始時の研究の概要 |
近年「農福連携」は注目を集めているが,多くの実践者が監督や指導に困難を感じている。この問題を解決するためには,労働者の自律性を向上させる必要がある。その方法論を構築するにあたり,「産消提携」の経験が援用できるのではないか。この作業仮説を検証するために,[1]農福連携の現場に応用可能な,自律的な農作業のモデルを確立する。[2]産消提携の生産者と消費者の共同実践経験を農福連携の現場が共有できるように言語化する。[3]農福連携の先進的事例における課題を明らかにし,[1]と[2]の結果がどのように活かせるかを考察のうえ,[4]現場実装を試みる。そして最後に,[5]研究成果を国外の関係者と交換する。
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研究実績の概要 |
交付申請書「研究実施計画」の[1]~[5]のうち本年度は[5]が残されていた。そこで研究期間を再延長し,海外調査の結果を国際学会で報告する他、社会福祉学や哲学の文献を収集したうえで理論的な深化を試みた。具体的には次のとおりである。 1) 第4回アジア園芸学会議(8月,東京)にて,「研究実施計画」[4]の一環として実施した台湾におけるグリーンケア実践事例調査で得られた知見について報告した。作物や家畜を育てるという行為そのものや農産物の利用だけでなく,実践者の経験をより広く共有されようとしていた。それらは教育や芸術と密接に関連し,「農福連携」の枠を超え,社会のマジョリティが社会的弱者,特に子どもたちにどのように接してきたかについて,批判的な視座を提供する。日本の取り組みが所得補償の単なる代替品として雇用の機会を提供しているのであれば,これらの取り組みはそれとは顕著な対照を示している。現在の有機農産物志向が消費者の安全ばかり過度に強調すると,当初の目的が矮小化され優生思想に陥る危険性があるが,「農福連携」と有機農業の経験を別の方法で結びつけられることが示唆された。 2) 生産者が「作物から指示を受ける」という自律的な農業活動のモデルは,「観察」という多面的な性格を有する活動に大きく依存している。しかし,初心者は「フレーム問題」に直面する。これは適切な欲望が形成されないために陥る問題である。解決の鍵は,ある種の美的経験を副産物として得られるようにすることである。金銭的報酬は労働者のウェルビーイングを改善すると考えられているが,労働者が欲望を作物に向けることを妨げていた可能性がある。その一方で,欲望が作物以外の何かに向けられていた可能性がある。「研究実施計画」[4]の現場実装で純粋に食料生産を目的とした農作業の機会が参加者に「できた!感」を提供できていた理由が明らかにされた。
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