研究課題/領域番号 |
19K06309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
柏嵜 勝 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (00282385)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 日本産果実 / 輸出試験 / 味覚 / 品質評価 / 味覚推定 / 日本産果物 / 海外味覚審査 / 品質情報 / 味覚評価推定 / 日本産農産物 / イチゴ / ニホンナシ / 呈味成分分析 / 可視・近赤外分光分析 / 味覚評価推定モデル / 呈味成分予測モデル / 推定 / 味覚審査 / 非破壊推定 / 農産物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究申請では、生鮮果実を用いて海外の食の専門家による味覚審査データと果実の反射・透過スペクトルデータ、そして呈味成分分析データ、食感に繋がる物性データ、芳香特性データ、外観評価データなどを用いて人間の味覚、嗅覚、触覚、視覚をデータ化し、これらのデータ群の関係性を詳細に解析し、国際的な味覚審査データとこれまでに培った分光特性把握技術、呈味成分分析技術、そして新たに導入した多感覚器分析システム、食品物性分析装置、測定部を自由に試作可能な高精度分光分析装置を総合的に活用し、農産物のおいしさを非破壊で推定する、味覚評価非破壊推定システムの開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、農産物輸出・流通前後の呈味成分分析データの把握と流通後の海外味覚審査データの関係を精査し、味覚評価推定モデルの開発を目的としている。2020~2022年度に海外味覚審査機関への日本産果物の輸出試験も兼ねた審査出品を予定したが、新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延によるEU域の入国および行動制限、日本からの移動制限などのため実施できない状況になった。海外味覚審査機関の審査評価データが重要であり、本研究に及ぼす影響が非常に大きいと判断し、2023年度への延長を申請し認められた。2023年1月より徐々に行動制限の緩和となり、2023年11月の味覚審査に向けて輸出試験等の準備を始めた。 2022年度は、本研究で唯一実施できた2019年度流通データおよび味覚審査データに加えて、過去2015~2018年に実施した同様の流通試験・味覚審査データを用い、味覚評価推定のためのデータ解析作業を始めた。しかし、それぞれの試験目的および流通方法が異なるため、本研究の目的に沿った解析および推定モデル作成が難しい状況である。 過去の輸出試験データの解析により、イチゴの輸出前後の糖度変化は小さいが、呈味成分として甘味ではSucrose量が有意に低下、FructoseおよびGlucose量が僅かに上昇、酸味は有機酸含量および含有割合(Citric AcidとMalic Acidの比)が変化し、特にCitric Acidの含有量はほぼ変化しないこと、Malic Acidは経時的な減少がみられることを見出した。さらに、試験前後で実施した官能試験では甘味の低下、品質の低下が示唆され、有機酸成分は糖成分の10%に満たない量であるが、人間の官能としては糖の10倍と言われているため、Sucroseの減少とMalic Acidの減少は糖・酸組成バランスが変化し、少なからず人間の官能として知覚されると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年に続き2022年度も新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延によって入国制限・行動制限、さらに物流の遅滞によって、日本産果物の海外味覚審査機関への出品ができず、味覚審査データの入手ができていない状況にある。味覚審査機関への出品は輸出試験を兼ねて実施する予定であったが、代替措置として輸送に航空機が介在する国内輸送試験(沖縄往復)を実施したが、輸送業界の混乱、航空便の減便等輸送状況が悪化しており、代替試験として利用できるデータ品質が確保できているか疑問である。徐々に状況は好転しているため、2023年度への延長申請を行い、可能な限り当初の目的達成に努力する。さらに、これまで蓄積してきた同様の輸出試験データを活用し、試験条件や試験方法が異なるためデータの品質的な問題や揮発成分データが取得できていないなどの問題が残るが、限られた条件での味覚評価推定モデルの作成を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症に対する日本およびEU域の入国制限等が緩和される方向であるため、2023年の海外味覚審査機関への出品と輸出試験を計画している。味覚審査は2022年12月と2023年3月に予定されているため、味覚審査出品と輸出試験の実施を目指したが物流遅延が回復できておらず品質への影響が大きいと判断し出品を断念するに至った。 また、本研究の目的達成に使用できるデータは2019年度実施のみであるが、限られたデータを有効に活用して本研究の目的達成に努力する。さらに、これまで蓄積してきた同様の輸出試験データを活用し、試験条件や試験方法が異なるためデータの品質的な問題や揮発成分データが取得できていいないなどの問題が残るが、限られた条件での味覚評価推定モデルの作成を行う。さらに、物流状況を十分に確認し、2023年11月の味覚審査への出品を計画する。
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