研究課題/領域番号 |
19K06326
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 津山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
井上 浩行 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 教授 (00232554)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | パワーアシスト / 農業ロボティクス / 移動ロボット / パワーアシストロボット / 上肢拳上作業 / 農業機械システム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、スマート農業の観点から、ぶどう栽培に代表される立位姿勢で長時間腕を上げての作業負担を軽減するモビリティ型のパワーアシストシステムを開発する。移動は、クローラー型のモビリティに立位した状態で行う。作業者の体重をモビリティが支えることで、作業中の脚や腰の負担を軽減する。さらに、上肢作業を補助するパワーアシスト装具もモビリティが支えることで、従来の装着型パワーアシスト装具の自重負担から作業者を解放する。パワーアシスト装具は、軽量化と低価格化を実現するためにリンク機構を用いて、上腕、前腕、手の動作補助を実現する。その結果、作業者の身体的負担を軽減しながら作業効率の向上を図る。
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研究実績の概要 |
研究の目的は、ぶどう栽培に代表される立位姿勢で長時間腕を上げての作業負担を軽減するモビリティ型のパワーアシストシステムを開発することである。令和4年度は、ぶどう農園内を走行するモビリティのプロトタイプに対し、傾斜地ほ場下においても作業者の座位姿勢を水平に保持する機構を試作した。機構としては、モビリティの筐体にボールキャスターを配置し、その上に曲面の部材をのせ、その上に椅子を取り付けた。試作した機構は、異なる3種類のボールキャスターを用いて試作し、評価実験により最適なボールキャスターを決定してモビリティに付加した。そして、傾斜地ほ場を想定したスロープの上を走行させる評価実験により、試作した座位姿勢を水平に保持する機構の有効性を確認した。 次に、モビリティに搭乗した作業者の腕の動きを補助するパワーアシスト装具を改良した。パワーアシスト装具は、上腕、前腕、手の動きを一つのリニアアクチュエータで補助するためにリンク機構を用いて構成されているため、補助する動きが定型的である。そこで、補助する動きの汎用性を高めるため、作業者の上肢を補助する腕部をリニアアクチュエータによって駆動する関節の動きを決定するリンクの配置位置と手の姿勢を決定する支持部を新たに試作することで、汎用性の向上を試みた。まずは、リンクの配置位置を変更することで手関節に相当する関節の動きがどのような影響を受けるかシミュレーションを行い、リンクの配置位置によって手関節の軌道を変更することができることを確認した。 新たに試作した装具の有効性を評価するため、ぶどうのジベレリン処理に適用し、作業者の手の姿勢を水平に保持する支持部も試作した。評価実験の結果、ジベレリン処理に要求される腕の動きが実現可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ぶどう農園内を走行するモビリティのプロトタイプに、傾斜地ほ場下での使用を可能にするため、作業者の座位姿勢を水平に保持する機構を提案し、試作した。実際にモビリティがスロープの上を走行しても姿勢をほぼ水平に保持することが可能であることを確認した。 パワーアシスト装具の汎用性を高めるために、作業者の上肢を補助する腕部をリニアアクチュエータによって駆動する関節の動きを決定するリンクの配置位置によって手関節の軌道が変更可能であることを明らかにした。そして、作業者の手の姿勢を決定する支持部を新たに試作することで、上肢拳上作業であるぶどうのジベレリン処理に適用し、有効性を確認した。 計画では、モビリティとパワーアシスト装具の操作用インタフェースを統合する予定であったが、必要な電子部品が欠品となったためシステムを構築することができなかった。 以上のことから、遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
モビリティに関しては、実際に人を載せて傾斜地ほ場を走行することを想定して安全性の向上を図る。そのためには、試作したプロトタイプで走行実験を行い、生じた問題に対処することで、搭乗者の安全性ならびに走行性能を確保する。 パワーアシスト装具に関しては、さらに補助する動きの汎用性を高めるため、リンク機構の改良を行う予定である。 最後に、モビリティならびにパワーアシスト装具それぞれ単独に構築されている操作用インタフェースを一つに統合したシステムを構築する。操作用インタフェースは、作業者にとって直感的にわかりやすいものでありながら、誤操作を生じさせないような配慮が必要である。そのため、試作したモビリティ型のパワーアシストシステムの有効性を評価実験により検証する。
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