研究課題/領域番号 |
19K06369
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2022) 日本女子大学 (2020-2021) 広島大学 (2019) |
研究代表者 |
星野 由美 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (10451551)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 卵子 / 細胞内温度 / 温度プローブ / 発生能予測 / 細胞診断 / 生殖技術 / Pin1 / 卵子の健常性診断 |
研究開始時の研究の概要 |
生殖技術の精度向上には、正確な細胞診断により優良卵子を選別する必要があるが、それを実現させるためには、科学的根拠に基づく診断マーカーの確立が急務である。研究代表者によるこれまでの研究から、診断マーカーになり得る有力候補として「細胞内温度」を提案する。本研究では、その有効性を科学的に証明するために、卵子内温度の機能的意義を解明する。
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研究成果の概要 |
卵子の細胞内温度の機能的役割を明らかにするために、本研究ではマウス卵子における細胞内温度変化と発生能力との関連を解析するとともに、細胞内温度に関わる候補分子の解析を行った。その結果、細胞内温度は卵子ごとに異なり、発生能力の高い成熟卵子で高温であることを明らかにした。また、温度に影響する因子として着目したPin1が卵成熟過程における染色体分配(減数分裂)に重要な役割を果たすことを明らかにした。発生能力の高い新鮮卵子では、細胞内温度もPin1の発現も高いが、過熟・加齢により低下する。これらの結果は、卵成熟と発生能力の維持に細胞内温度が関与し、Pin1による制御機構が必須であることを示している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、卵成熟に細胞内温度が影響し、細胞内温度の高い成熟卵子は発生能力が高いことを明らかにした。細胞内温度とその分布は卵子ごとに異なり、卵子の運命決定に関与している。これまで卵成熟は、核成熟と細胞質成熟の観点で議論されてきたが、温度を軸とした新たな概念が加わることで、卵成熟(減数分裂)を熱産生の観点から理解することに繋がる。また本研究では、細胞内温度が卵子の発生能予測や健常性診断に有効な指標になり得ることを示した。細胞内温度が細胞診断の指標になれば、これまで困難であった卵子の客観的かつ定量的な診断が実現し、生殖医療や動物生産における出生率向上に大きく貢献するものと期待される。
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