研究課題
基盤研究(C)
犬の乳癌は筋上皮細胞増殖および骨・軟骨増殖を示す特有な癌組織を形成する。さらに炎症性乳癌は現在確立した治療法がなく、獣医療における重要な研究課題の一つである。本研究の目的は、癌幹細胞を基軸とし、犬の乳癌の病態発生機構の解明および癌幹細胞を標的とした新規治療法の基盤の構築である。それゆえ、生体で生じる癌組織を模倣した器官様構造(オルガノイド)および犬由来乳癌組織移植モデルマウスを作出し、これらの特性解析および薬剤スクリーニングを遂行する。本研究成果は、犬に特有な乳癌の発症・病態機構を解明でき、さらに獣医療における癌幹細胞標的治療法の基盤を構築し、獣医療における革新的な治療戦略の展開が期待できる。
犬の乳腺腫瘍は、ヒトや猫の乳腺腫瘍ではみられない組織亜型が存在し、筋上皮細胞増殖、骨および軟骨増殖を示す特有の腫瘍が形成される。しかし、それらの亜型の腫瘍発症機構は未だ解明されていない。本研究では、犬に特有な乳癌の発症・病態形成機構の解明のために乳腺腫瘍由来の三次元オルガノイドの特性解析を行った。形成されたオルガノイドの形状はいずれも球状ないし不整形であり、組織学的には管腔形成、充実性増殖、扁平上皮化生を示すものが認められた。オルガノイド構成細胞は、免疫組織学的にCK18、p63に陽性を示し、腺上皮および筋上皮細胞が確認された。形成されたオルガノイドは生体の乳腺組織を模倣していた。
本研究成果は、犬に特有な乳腺腫瘍の発症・病態形成機構の解明に加え、乳癌幹細胞を標的とした分子標的薬を抽出し、獣医療における新規癌治療戦略の基盤構築に貢献できる。さらに、ヒトの癌基礎研究だけでなく、ヒト医療に社会還元することが期待できる極めて重要な獣医学から医学へのトランスレーショナル研究である。
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すべて 雑誌論文 (17件) (うち国際共著 1件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (23件) (うち招待講演 1件)
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