研究課題/領域番号 |
19K06422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 北海道大学 (2020-2022) 宮崎大学 (2019) |
研究代表者 |
中村 健介 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (80625898)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 肺高血圧 / 右室同期性 / 肺塞栓 / Tei index / 肺高血圧症 / 右心房機能 / ストレイン / 右心 / 心エコー / ウサギ / シャント |
研究開始時の研究の概要 |
エコノミークラス症候群として知られる肺塞栓症は近年では高齢の避難生活者などにも好発する致死的な疾患として広く知られるようになってきた。また獣医療においても本疾患の潜在的な重要性が認知されつつある。それに伴い関連研究も多くなされてきているが、そのほとんどが血栓に注目したものであり、塞栓される側の肺血管に着目した研究は非常に少ない。本研究では年齢とともに変化するとされているが実は良くわかっていない肺血管構造のバリエーションを解明し、それが肺塞栓症の重症化と関連するかどうかを明らかにすることを目的とする。その結果、本症のリスク患者を選別し発症リスクの軽減につながる知見を得る事が期待される。
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研究実績の概要 |
当該年度は、マイクロビーズ注入による急性肺塞栓モデル犬を作成し、右心カテーテル検査と心エコー検査を行い、塞栓誘発直後の甚急性期から2日後の回復期にかけての右室機能指標ならびに血行動態の変遷を評価した。急性期には肺動脈圧の上昇とともに、多くの右室収縮機能指標の下が認められたが、わずか2日後には肺動脈圧の上昇は継続しているにもかかわらず、右室収縮機能指標の多くが正常に復しており、心臓の代償能力の高さが示された。その中で、収縮能と拡張能を併せて評価することが可能なTei indexについては2日後でも異常値が継続してみとめられており、肺高血圧症を検出するという点においてはTei indexが有用であることが示された。 また、本研究では新たな右心機能指標として心室収縮の「同期性」についても着目した。右心室は比較的複雑な構造を有しながら、各部位が同期性すなわち連動性を持って収縮と拡張を繰り返すことで効率的に血液を駆出している。肺塞栓に伴う肺血管抵抗の増大により、その同期性が失われることが本研究によって明らかとなった。この同期性と心拍出量との間には有意な相関が認められており、心機能の維持においては収縮の強さのみならず、連動性が重要であることが示された。 以上の成果は国際学術誌に掲載されている(Morita, Nakamura, et al. Frontiers in Veterinary Science 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定とは大きく異なる研究実施内容となっているが、得られた成果、実績の大きさについては当初予定と相違のないものが得られていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
肺塞栓モデル犬ならびに肺高血圧症の臨床例に対して、新たな心機能検査の1つとして着目している肺動脈内血流解析を用いてさらなる病態解明を進める。
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