研究課題/領域番号 |
19K06434
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 陽平 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (00588056)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 始原生殖細胞 / 代謝 / エピゲノム / 栄養 / 代謝調節 / エピゲノム制御 / O-GlcNAc / 発生分化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、環境要因を介した代謝調節の変化が、マウス胎仔期の始原生殖細胞の発生・分化にどのような影響を与えるかを包括的に解明することを目的とする。申請者はこれまでに、マウス始原生殖細胞の発生・分化に伴う代謝状態の変化について研究を進めてきたが、どのような代謝化合物・代謝経路がどのような分子メカニズムにより始原生殖細胞の発生・分化を制御するか、は未だ不明な点が多い。そこで本研究では、培養下、様々な環境条件で始原生殖細胞の分化誘導を行い、始原生殖細胞の発生・分化に寄与する代謝系を包括的に特定する。特定した代謝系について、代謝調節が始原生殖細胞の発生・分化を制御する分子メカニズムの解明に取り組む。
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研究成果の概要 |
代謝調節は細胞機能や分化を上流で制御する重要な要素だが、始原生殖細胞の運命決定において重要な役割を果たす代謝経路は不明であった。本研究では、グルコースが解糖系から分岐するヘキソサミン生合成経路を通して始原生殖細胞の形成に必要であること、この効果は標的タンパク質の糖付加修飾を介したエピジェネティックな制御によってもたらされることを明らかにした。さらに、母親の糖質制限食による糖質代謝の低下が、胚における始原生殖細胞の形成の抑制を引き起こすことを明らかにした。これらの結果は、母体の栄養、代謝、エピジェネティックな制御が、その子孫の生殖細胞の運命決定の制御において重要な役割を持つことを示すものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生殖細胞系列は、胎仔期の早い段階で多能性幹細胞から分岐して生じ、増殖・移動を経て生殖巣に入り、配偶子へと分化していく。そのため、胎仔の置かれた環境が生殖細胞分化や将来的に生殖機能に影響を与える可能性が高いものの、それを証明した研究はなかった。本研究で、始原生殖細胞が形成される時点での糖質代謝の重要性を明らかにしたことにより、初めて栄養環境と始原生殖細胞形成の関連性が示唆された。このことは培養系や母体の栄養環境により生殖細胞の分化能や生殖機能に影響を与えうる可能性を示しており、非侵襲的な外部環境からの介入による生殖細胞機能の操作へと繋がることが期待される。
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