研究課題/領域番号 |
19K06441
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
高野 桂 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 准教授 (50453139)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | トランスグルタミナーゼ / ミクログリア / アストロサイト / 神経変性疾患 / 神経炎症 / アルツハイマー病 |
研究開始時の研究の概要 |
蛋白質の架橋結合形成酵素であるトランスグルタミナーゼ(TGs)は,血液凝固や皮膚の角質化など,生体の維持に不可欠な機能を有している。しかしながら,中枢神経系におけるTGsの詳細な発現分布と各細胞における機能についてはあまり報告されていない。本研究では,グリア細胞におけるTGsの変化が,神経変性疾患の発症メカニズムに寄与する可能性を解明する。近年の研究で,神経細胞だけでなくグリア細胞が脳機能の維持に重要な働きをしていることは周知の事実となっており,本研究の成果から神経変性疾患の新規発症機構が解明されれば,新たな治療法開発につながると期待される。
|
研究成果の概要 |
我々はこれまでに、グリア細胞活性化時にTG2発現が上昇し、それがNO産生や貪食能に関与すること、また、アルツハイマー病に特徴的な脳のAβ蓄積に関して、アストロサイトから放出されたTGsはAβ凝集を促進し、ミクログリアはTG2との結合を介してAβを取り込んで活性化することを報告した。アルツハイマー病の治療薬としての可能性が期待されているレチノイン酸(ATRA)は、アストロサイトとミクログリアにおいて、LPS刺激によるNO産生を抑制する一方で、TG2発現とTG活性を上昇させ、ミクログリアの貪食能を上昇させた。以上の結果から、グリア細胞に発現するTGsの変化が機能変化に関与する可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
グリア細胞の機能制御が正常な脳内環境の維持に重要であることは周知の事実となりつつあり、グリア細胞の炎症反応を単に抑制する化合物は報告されているが、対症療法にすぎない。TGsは神経変性疾患での発現上昇などは知られているものの、グリア細胞での発現およびその機能についての報告は少ない。また、TGs活性阻害剤がハンチントン病モデル動物において症状軽減および延命効果があるとの報告もあり、TGsは新規の脳疾患治療薬のターゲットとなりうる。本研究成果により、グリア細胞におけるTGsの発現および機能調節機構が解明されれば、神経変性疾患における神経細胞死を保護する新たな薬剤の開発につながることが期待される。
|