研究課題/領域番号 |
19K06507
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
海野 昌喜 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10359549)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | シトルリン化 / 毛髪キューティクル / 立体構造 / PAD3 / S100A3 / 四次構造変化 / カルシウム / 金属結合親和性 / 構造変化 / 機能変化 / 毛髪 / 構造生物学 / 蛋白質アルギニン脱イミノ化酵素 / 変異体 / 構造 / X線 / アイソザイム / 阻害剤 / 複合体 / タンパク質脱イミノ化 / 翻訳後修飾 |
研究開始時の研究の概要 |
S100A3タンパク質は毛包に多量発現し、共局在するタンパク質脱イミノ化酵素(PAD)アイソザイムPAD3によって、そのArg51がシトルリン化されるとCa2+/Zn2+の結合親和性が協同的に上がり、二量体から四量体に大きく構造変化する。この機構は毛髪角化に働く重要な生化学プロセスと考えられている。本研究では、5つのPADアイソザイムのうち、PAD3のみがS100A3のArg51を選択的に認識しシトルリン化する機構、および、S100A3の金属イオン結合親和性上昇機構と四量体化機構を構造生物学的に解明する。この機構の構造生物学的・科学的理解と共にPADアイソザイム選択的阻害剤設計にも応用される。
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研究成果の概要 |
蛋白質脱イミノ化酵素(PAD)の1つであるPAD3はキューティクル細胞に多量に存在し、共局在するS100A3蛋白質のArg51を選択的にシトルリン化する。S100A3はCa2+, Zn2+存在下でシトルリン化されると、二次構造・三次構造を変化させながら四量体化することに加え、両金属イオンとの結合親和性を上昇させる。これは毛髪角化に重要な生化学プロセスであると考えられる。 我々は、本研究課題の実施により、PAD3の立体構造を解明し、他のアイソザイムとの構造の類似点や相違点を明らかにした。また、S100A3のシトルリン化モデルとなる変異体を見出し、その物理化学的性質を明らかにすることに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
哺乳類のPADには5種類のアイソザイムが存在し、中にはその発現・活性の異常が関節リウマチや多発性硬化症の原因になっているものもある。そのため、PADの選択的阻害剤の開発が望まれてきたが、PAD3の立体構造は今まで詳細に解明されていなかった。また、PAD3によるS100A3の選択的シトルリン化は、他のPADアイソザイムと比較して特殊であり、興味深いうえ、毛髪角化に必須な生化学的プロセスであると考えられている。少子高齢化社会が進行しており、ただ長生きするだけでなく、クオリティオブライフの向上が求めらる。S100A3やPAD3の構造・機能の解明は人間の生活の質を向上させることに貢献する。
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