研究課題
基盤研究(C)
細胞内小器官の一つ小胞体には、厳正な蛋白質品質管理システムが存在する。近年、不良蛋白質の蓄積により誘導される小胞体ストレス応答因子の1つであるIRE1の機能制御に、PDIファミリー酵素の1つであるP5が関わっていることが報告された。しかしながら、P5は構造未知であり、機能的解析も十分に進んでいないため、同酵素による「フォールディング補助」および「小胞体ストレス応答因子の制御」の分子機構は未解明である。そこで本申請は、特に同酵素の酸化的フォールディング促進活性・シャペロン活性・小胞体ストレス応答因子の調節機構の詳細を構造生物学的、細胞生物学的手法により解明する。
小胞体内のタンパク質品質管理を担うジスルフィド異性化酵素ファミリーに属するP5が、溶液中で二量体構造をとり、またその二量体構造が非常に動きに富むことを発見した。構造情報から二量体を形成できない変異型P5を作製したところ、立体構造が不安定化し小胞体ストレスセンサーの制御能が低下した。さらに、P5はPDIと複合体を組むことで、酸化的フォールディングを促し、P5はERp72と複合体を組むことでシャペロン機能を亢進することを見出した。以上の研究により、P5による基質認識機構とパートナータンパク質との協奏的機能の役割を明らかとし、P5を介したタンパク質品質管理の全容を解明した。
細胞内の小胞体には新生タンパク質に、構造を安定化するためにジスルフィド結合を導入する仕組みが存在する。このジスルフィド結合の触媒を担っているのがPDIファミリー酵素である。特にPDIファミリー酵素のひとつP5は、癌などの疾患や小胞体ストレス応答、血液凝固といった様々な生理機能と関わることが報告されていたが、全体構造が不明なため詳しいメカニズムは不明であった。本課題では全長P5がユニークな構造モチーフを介して二量体構造をとることを明らかにし本モチーフが本酵素の機能発現にとって重要であることを提示した。従って本酵素の構造機能相関研究に基づき、本成果は医学的にも重要な知見をもたらす。
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