研究課題/領域番号 |
19K06538
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松井 美紀 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00455784)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ヘム / 天然変性タンパク質 / 転写因子 |
研究開始時の研究の概要 |
従来ヘムは、タンパク質と安定に結合して機能すると考えられてきた。転写因子Bach2は、B細胞から形質細胞への分化を抑制する。申請者は、ヘムがBach2に直接結合することで、形質細胞分化を促進する現象を発見した。またBach2は、決まった高次構造をとらない「天然変性タンパク質」であり、ヘムが濃度依存的にBach2の構造状態を変化させることを明らかにした。そこで申請者は、「細胞内で、ヘムの濃度変化がシグナルとなる」ことを提唱してきた。本研究は、ヘムシグナルが、Bach2の構造状態を調節することで、タンパク質相互作用をスイッチさせ、細胞応答過程を調節する分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
ヘムが、転写抑制因子BACH2と直接結合し、形質細胞への分化を促進する。しかし、Bach2の制御機構解明には至っていなかった。BACH2のヘム結合領域は天然変性状態である。我々は、ヘム依存的にBACH2と結合するリン酸化酵素TBK1の同定から、TBK1がBACH2を直接リン酸化しBACH2の標的遺伝子発現が調節されることを示した。ヘムの有無でBACH2のリン酸化部位が変化する、ヘム結合量に伴いBACH2複合体構成因子が変化する結果を得た。本研究では、ヘムがシグナルがBACH2の全体構造が動的に変化させ、BACH2複合体構成因子の変化を誘導し、BACH2が制御されている分子機構を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
天然変性タンパク質は、生体内で他のタンパク質と相互作用して多彩な機能を生み出す。Bach2の天然変性領域には、複数のヘムが結合して機能が変化するが、この際二次構造を新たにとらない。すなわち、天然変性状態のままで機能が変化するという、これまでにない特徴をもつ。また、天然変性領域の構造変化をヘムとリン酸化という二つのシグナルが連携して制御することを見いだしているが、天然変性領域が異なるシグナルを統合する例はない。本研究が達成により、天然変性タンパク質研究の問題点を解決するだけではなく、ヘムの新たな役割として「細胞内ヘム濃度変化に伴う天然変性タンパク質相互作用の調節」まで広がる可能性がある。
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