研究課題
基盤研究(C)
Mid1は、酵母が種々のストレスを受けた時に生命を守るためにカルシウムシグナルを発生するカルシウムチャネルの制御サブユニットであり、本研究代表者が発見し、当該分野をリードしつつ長年研究したタンパク質である。本研究では、Mid1の膜輸送において、少なくとも2つのシグナルペプチド(SP)がはたらくことを明らかにし、酵母のストレス応答と関連づけてその2つを使い分けるメカニズムを明らかにしようと計画されている。このような研究はタンパク質生合成の分野で他に例がなく、学術的に重要である。この研究が成し遂げられた暁には、広く生物がもつストレス応答機構に新たな1ページを加えることができ、創造性が極めて高い。
本研究は、出芽酵母のカルシウムチャネルの制御サブユニットMid1を用いて翻訳開始コドン選択機構と膜輸送機構を解明することを目的とする。Mid1は、そのN末端に小胞体(ER)内腔に入るためのシグナル配列(N-SP)をもつ。我々はMid1がN-SPだけでなくC末端にシグナルペプチド(C-SP)をもつことを示唆するデータを得た。そこで、本研究では、(1) C-SPのアミノ酸配列はどこからどこまでか、(2) どのような状況下でC-SPがはたらくのか、 ということを調べた。その結果、(1)の方については最終的な解明に近づいた。(2)については未だ初期段階であり、今後の更なる研究が必要な状況である。
細胞質で合成されたタンパク質が細胞膜上または細胞外に輸送されるには、教科書的には、そのタンパク質のN末端にシグナルペプチドと呼ばれる約20個のアミノ酸残基からなる領域(N-SP)が必要である。酵母のMid1タンパク質はそのN-SPが無くても細胞膜まで到達できることを、我々は発見した。さらに、その到達ができる理由はMid1のC末端に第2のシグナルペプチド(C-SP)と呼ぶべき領域があることも発見した。本研究によりその領域を厳密に決めることができ、どのような生理条件の時にC-SPが使われるのかを明らかにできれば、タンパク質の細胞内輸送の制御機構に全く新しい概念を打ち立てることができる。
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