研究課題/領域番号 |
19K06541
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
辻田 和也 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 准教授 (10457054)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細胞膜の張力 / BARタンパク質 / 光ピンセット / 細胞膜張力 / 膜張力 / アクチン細胞骨格 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞膜の張力という膜の物理的性質は、細胞膜の変形を伴う細胞運動、エンドサイトーシス、細胞分裂、極性形成等の動的な生命現象を本質的に制御していると考えられ、近年注目されている。細胞膜張力の変化が物理刺激として働くためには、それは厳密に制御されなければならない。しかし、最も基本的かつ重要な問題である細胞膜の張力自体を制御する仕組みは未だ不明である。本研究では膜張力センサーであるBARタンパク質に着目し、細胞が細胞膜張力の変化を感知し、その恒常性を維持する仕組みを解明する。そして、張力恒常性の破綻ががん化に寄与していることを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、細胞膜の曲率を誘導・感知するBARタンパク質に着目し、上皮細胞の細胞膜張力が恒常的に高く維持される分子機構の解明を目的とした。光ピンセットとRNAi法を組み合わせた解析により、細胞膜張力の維持に必要なBARタンパク質Xを同定した。Racに対するGAPドメインを持つXは、細胞膜張力の低下を感知して、膜にリクルートし、Racを不活性化し、その結果、競合相手のRhoAの活性化を介して、細胞膜張力を正に制御することが示唆された。これらの結果から、細胞膜張力とBARタンパク質Xによるフィードバック制御機構が、細胞膜張力の恒常性維持に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果により、BARタンパク質が細胞膜張力を制御する仕組みを解明し、細胞膜張力の恒常性維持機構という上皮細胞のintegrityを保つ新しいコンセプトを提示することができた。細胞膜張力の制御・維持機構はよく分かっておらず、本研究成果は、細胞膜の変形を伴う細胞運動、エンドサイトーシス、細胞分裂、極性形成等の動的な生命現象の理解に大きく貢献するものと期待される。また、BARタンパク質Yは浸潤・転移に関わるがん遺伝子としても知られており、Yはがん治療における有望な標的分子となる可能性が考えられる。
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