研究課題
基盤研究(C)
本課題研究は細胞内小器官ペルオキシソームをモデルオルガネラとし、膜を介したタンパク質輸送とその機能制御システムを分子レベルで明らかにすることでペルオキシソーム恒常性維持の分子メカニズム解明へ発展させる。とくに、ペルオキシソーム形成において中心的な役割を果たす膜透過輸送装置の複合体構造とその複合体が担うタンパク質輸送機序の解明、さらには細胞内外からのシグナルに応答したペルオキシソーム機能制御システムを明らかにするという切り口から、ペルオキシソーム恒常性維持の分子メカニズム解明に向けた研究を展開する。
ペルオキシソームの形成を担うペルオキシンPex14 がリン酸化による修飾を受けることは、酵母から哺乳動物細胞系においてこれまでに広く示されていたが、その生理的な役割は長年にわたり不明であった。我々は細胞周期の中でも特に分裂期特異的にヒトPex14 のSer232 がリン酸化されることを見出し、このリン酸化によってカタラーゼの輸送能が低下するとともに細胞質でのカタラーゼを増加させることで活性酸素種に対する防御メカニズムとして働くことを明らかにした。すなわち、核膜が消失した分裂期ではカタラーゼを介してDNA を活性酸素種から保護するという、細胞における新たな酸化ストレス耐性戦略を見出した。
本研究の成果により、細胞内の環境変化に応答したペルオキシソーム機能の制御メカニズム解明に向けた手がかりを得ることができ、さらには細胞のストレス毒性に対するペルオキシソームの抗ストレス機能の解明に繋がるだけでなく、活性酸素種が関与する病気や老化の進行等に対する今後の治療法開発や創薬研究への展開が大きく期待される。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
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