研究課題/領域番号 |
19K06579
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
松村 茂祥 富山大学, 学術研究部理学系, 講師 (40619855)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | RNAワールド / 実験進化 / リボザイム / 区画化 / マイクロ流体システム / 生命の起源 / 情報と機能の分離 |
研究開始時の研究の概要 |
進化の原動力は分子の多様性である。生命の起源において、機能性RNAが進化できるほどの分子多様性が自発的に出現しえたのかどうかは、非常に重要かつ未解決の問題である。本研究では、マイクロ流路デバイスにより微小液滴を操作する技術を用いてRNAの実験進化を行い、この問題に切り込む。まず、RNA酵素を細胞様の区画に封入し選択する実験を通して、どのような選択圧があるときにRNA分子の多様性が大きくなるのかを検証する。次いで、その蓄積した多様性の中から、それまでの分子の機能とは異なる別の機能が創発しうるのかどうか、進化実験を行う。
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研究成果の概要 |
リボザイムに人為的に変異を導入し、液滴を用いた実験進化を行ったところ、野生型のリボザイムを超える活性を示すクローンを見出した。次に、より高い選択圧をかけることのできる統合型マイクロ流体デバイスを用いて追加の進化実験を行った。得られたライブラリを解析したところ、もとのリボザイムの活性を大幅に上回る分子種を発見した。また、上記の実験進化の過程で、リボザイムではない、基質RNAに結合してその蛍光を増強する能力をもつ新規なRNAが出現した。さらに、この分子種は情報と機能を分離させている非常に興味深い特徴をもつことも判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞サイズの微小液滴操作技術を用いてリボザイムの人為進化を行う実験系を構築・運用し、実際にリボザイムの活性を大きく向上させることに成功した。特に、統合型マイクロ流体デバイスの実験進化における有用性を示すことができたことは、液滴を用いた新たな進化工学の応用範囲・可能性を大きく広げる意義を含んでいる。また、実験進化の過程で、リボザイムではない、基質RNAに結合してその蛍光を増強する能力をもつ新規なRNAを発見した。この分子種は、情報と機能を分離させている非常に興味深い特徴をもつことも判明した。このようなRNAはこれまでに発見されておらず、RNAワールドの進化に対して極めて重要な知見を与えうる。
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