研究課題/領域番号 |
19K06590
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐々木 章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30580162)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 画像相関分光法 / 顕微鏡ベンチマーク / 定量イメージング / 蛍光相関解析 / 遺伝子デリバリー |
研究開始時の研究の概要 |
細胞への遺伝子導入において、外来遺伝子が発現に至るまでの経路や細胞内に入った外来遺伝子を排除する分解の機能、異物認識機構の大部分はブラックボックスである。本研究ではそれらの機構を可視化するため、蛍光イメージング画像に分子の移動方向・分子の状態、核酸の分解、DNA認識タンパク質との相互作用を投影し、各情報間の相関を時空間的に明らかにする「時空間相関イメージング技術」を開発、遺伝子デリバリー機構の全容を解明する。特に細胞が非自己を排除する機構を外来遺伝子がどのように突破するかに着目する。本研究は核酸医薬設計の基本原理にバックボーンを与えると同時に「非自己の排除」という生命の根源的機能の意義に迫る。
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研究実績の概要 |
本研究では、レーザー共走査型共焦点顕微鏡のタイムラプス測定画像(生データ)を取得し、分子拡散由来のシグナル(蛍光強度揺らぎ)とオルガネラ等の構造体の シグナルを分離した状態において、画像相関法等を用いて、通常のイメージングにおける蛍光強度分布の情報に加えて、共局在度、構造体の移動方向、核酸分子 の分解度、 DNA認識タンパク質との相互作用、分子数、複合体形成のような高次情報を抽出し、さらにそれらの情報を統合することを目的としている。 また、細胞内に導入されたDNA分子の分解をターゲットとし分解に関与する因子の同定や機能解明を目指している。 昨年度は時空間相関イメージングの基礎となる画像相関法の基盤技術の検討を行った。具体的には、画像相互相関法(Image cross-correlation spectroscopy) の原理により、画像の共局在性を定量的に解析する方法について検討した。試料として、任意の距離を隔てて2色で蛍光標識されたDNAオリガミ分子を設計し、 標識間の相関を定量化して2色間の共局在性を判別する技術を構築した。画像相関を実施する際に必須となる、顕微鏡の正しい調整やキャリブレーションに使用する標準試料に関する情報をまとめた総説論文を発表した。また、本技術をDNAのみならず細胞内のRNAに展開していくための技術として、蛍光アプタマーを活用 した蛍光相関解析の検討を行った。蛍光RNAアプタマーであるBroccoliと蛍光基質(DFHBI-1T)の結合解離やそれによる蛍光強度の増大、蛍光相関測定への適用 における基本的性質の検証などを行い、論文成果を得た。今年度は、画像相関の技術開発を継続するとともに、その基礎技術が顕微鏡のハードウェア性能などを定量評価することに適していることを見出し、招待講演並びにCommentary論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、研究期間の再延長を行った。ただし、測定システムと要素技術の構築に関しては着実に進展しており、成果につながってきている。高次イメージングデータ統合のための基本技術の構築に目処が立ちつつあること、並びに開発した基本技術がイメージングデータの測定値妥当性検証に有用であることを新たに見出し、そちらから派生したサブテーマで成果が出始めていることも踏まえ、進捗状況としてはおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
高次イメージング情報の統合とその原理証明を加速するため、所属機関内での連携を引き続き強化する。画像相互相関法による共局在の評価技術は高次イメージングの柱となるものであるため、計測値の妥当性を担保するための参照試料の設定など、技術の錬成度を上げる取り組みを重視して研究を進める。本研究で細胞内での計測を行うための超解像顕微鏡は非常に高精度に調整することが必要であり、測定ごとに機器の性能を確認し最適な状態を保つためのストラテジーの確立も引き続き取り組む。
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