研究課題/領域番号 |
19K06591
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山本 条太郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (20585088)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 動態計測 / 蛍光相関分光法 / 動的光散乱 / 並進拡散 / 回転拡散 / 高分子混雑 / 液-液相分離 / 光計測 / 蛍光計測 / 拡散 |
研究開始時の研究の概要 |
タンパク質があたかも液体であるかのように振る舞う状態として液-液相分離(LLPS)状態が発見されています。LLPSを応用することでタンパク質医薬品として使用されているIgG抗体を高効率で回収する技術が提案されるなど、LLPSは注目されている現象ですが、LLPS状態にあるタンパク質がどのように拡散運動しているかはほとんど分かっていません。 本研究では、蛍光分子の拡散運動を計測する蛍光相関分光法と、散乱体の運動を計測する動的光散乱法を同時に実現する新規装置を開発し、LLPS状態にあるタンパク質の運動を解析します。今後LLPSを応用したタンパク質医薬品の品質向上に大きく貢献できると期待できます。
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研究成果の概要 |
偏光蛍光相関分光測定(Pol-FCS)と動的光散乱(DLS)を同時測定する装置を開発し、液-液相分離(LLPS)状態にあるタンパク質の動態を明らかにすることを目的とした。 実際にPol-FCSとDLSを同時測定可能な装置の開発に成功したが、Pol-FCS測定に適した濃度で蛍光標識タンパク質を含むLLPS状態の試料の調整が困難であった。そこで、LLPSと同様に高密度で高分子が存在する高分子混雑状態の溶液や生細胞内の混雑状態を定量評価した。この結果、蛍光タンパク質の並進拡散と回転拡散動態の比較によって、蛍光タンパク質周辺のナノ環境の混雑具合を定量評価できることを実証することに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
蛍光プローブ分子の並進拡散と回転拡散を同時測定して比較することで、高分子混雑(MMC)状態にある溶液、生細胞の核・細胞質、ゲルの混雑状態を定量評価する手法を実証した。特に細胞内でのMMCについては、細胞内の実験結果と溶液内の実験結果の齟齬の原因とも言われ、近年注目されている現象である。これまでPol-FCSのように並進拡散と回転拡散を全く同一地点かつ同時に測定可能で、かつ生きた細胞を生かしたまま、部位選択的に測定可能な手法は存在していなかった。本研究成果は、今後のMMCや液-液相分離の研究の発展に大きく寄与可能であると期待している。
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