研究課題/領域番号 |
19K06602
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
上村 慎治 中央大学, 理工学部, 教授 (90177585)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 微小管 / X線繊維回折法 / 小角散乱 / 微小管安定化剤 / 流動配向法 / 負の熱膨張係数 / チューブリン / 温度依存性 / 構造ヒステリシス / 流動配向装置 / チューブリン分子構造動態 / 微小管繊維回折 / 熱膨張係数 / 冷却収縮 / 非等方性 / 脱重合閾温度 / タキソール / ラウリマライド / GTPアナログ / リン酸アナログ / タキソール誘導体 / 微小管構造動体 / X線繊維回折 / チューブリン格子 / 細胞骨格 / X線繊維回折 |
研究開始時の研究の概要 |
微小管は、真核生物のさまざまな細胞機能に深く関わる細胞骨格である。シンクロトロンの高輝度X線源を使ったX線繊維回折法を使って、微小管構造の柔軟性・可塑性を正確に定量的な評価を行うことで、微小管の生理機能をより深く理解できると共に、抗がん剤としての微小管安定化剤の薬理効果を客観的に数値化できる利点がある。これまでの電子顕微鏡技術ではわからなかった情報、動的な構造変化、その変化の時定数、構造の熱ゆらぎの評価を行う新手法として確立することで、抗がん剤の網羅的な探索研究を推進する。
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研究成果の概要 |
SPring-8にてウシ脳微小管のX線繊維回折を高速冷却条件下で調べることにはじめて成功した。超分子複合体構造の温度特性を調べた最初の研究報告例となり、以下の新知見を得た。1つ目は、微小管が長さ方向と直径方向で異なる冷却収縮率となる点で、チューブリン分子が温度によって構造変化することの直接的な証拠となる。2つ目は、17度が構造を維持できる臨界温度となる点、3つ目は、微小管安定化剤の存在で冷却収縮率が明らかに変化する点、4つ目は、再加温で再形成される微小管構造を調べ、脱重合時と再重合時の構造の違いが検出できた点である。微小管構造の新しい動態解析手法として提案できる画期的な手法となるだろう。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生体分子は独特の高次構造を持ち、金属粒子やポリマー粒子とは異なり、非等方的な構造を持つ。温度変化による熱膨張率もその構造を反映していると期待できる。本研究は、この点を高精度のサブpmスケールで明らかにした最初の研究例となる。研究手法上、冷却しなければならないクライオEMで解明された分子構造を解釈する上で、程度の差はあれ、低温構造変化する生体分子もある点は、考慮すべき新事実である。また、低温条件下で哺乳類の脳微小管は不安定化する性質があるが、その生物物理学的な説明、さらには、より温度順応型の他の真核生物から、哺乳類の微小管が進化して来た理由や分子進化プロセスの理解にもつながると期待している。
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