研究課題/領域番号 |
19K06643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 甲南女子大学 (2022-2023) 熊本大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
中西 宏之 甲南女子大学, 医療栄養学部, 客員研究員 (80314318)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | FCHO2 / BARドメイン / Nedd4ファミリー / 細胞膜湾曲 / クラスリン / エンドサイトーシス / ユビキチン / Nedd4ファミリー / 細胞膜 / 曲率 / ユビキチン化 / BAR/F-BARドメイン / 細胞膜曲率 |
研究開始時の研究の概要 |
FCHO2が形成する細胞膜の曲率を認識する分子が存在すると仮定し、その分子を検索し同定する。すでに有力候補分子としてユビキチン化酵素Nedd4ファミリー分子を見出している。Nedd4ファミリー分子がFCHO2による細胞膜の湾曲を認識して結合し、活性化されるかどうかを調べる。さらに、細胞膜リン脂質以外のFCHO2結合分子(タンパク質―タンパク質相互作用を介した結合)を検索・同定する。これらの同定した分子の機能を解析し、FCHO2のエンドサイトーシスにおける役割を解明する。
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研究実績の概要 |
BARドメインはバナナのような立体構造をもつ細胞膜結合ドメインであり、その分子に固有の曲率で細胞膜を湾曲させる。FCHO2はBARドメインをもつタンパク質であり、クラスリン被覆ピットの形成に重要な役割を担っている。本研究では、FCHO2に焦点を絞り、そのBARドメインが形成する固有の曲率の役割を明らかにする。本研究ではFHO2の細胞膜の曲率を認識する分子が存在すると推測し、その分子候補としてのユビキチン化酵素Nedd4Lを解析した。Nedd4Lは上皮性ナトリウムチャンネル(ENaC)などの膜タンパク質をユビキチン化して、クラスリン依存性エンドサイトーシスを制御している。 解析の結果、Nedd4Lの自己ユビキチン化を指標としてin vitroで酵素活性を測定すると、Nedd4Lは直径50nmのリポソーム(FCHO2が形成する曲率と同じ)と選択的に結合して活性化された。ENaCのペプチドを基質として酵素活性を測定すると、Neddd4Lが基質と結合することと、さらに基質は細胞膜と結合していることがNeddd4Lの活性化に必要であった。また、細胞レベルでFCHO2のBARドメインが形成する膜湾曲にNedd4LがC2ドメインを介して特異的にリクルートされ、活性化されることを見出した。他のBAR タンパク質のFBP17やamphiphysinの膜湾曲入にはリクルートもされず、活性化もされなかった。加えて、培養上皮細胞内にFCHO2、Nedd4L、クラスリンの蛍光タンパク質を共発現させると、3者は共局在することを見出した。 以上のことから、クラスリン被覆ピットにおいてNedd4LはC2ドメインを介してFCHO2 BARドメインが形成する膜湾曲に結合して活性化される。さらに、ENaCのような細胞膜上の膜タンパク質と結合することがNedd4Lの活性化に必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FCHO2によるNedd4Lの活性化は細胞膜湾曲を介したものであり、蛋白―蛋白相互作用によるものでないことを調べた。FCHO2 BARドメインはホスファチジルセリン(PS)と同様にホスファチジルイノシトール(4,5)二リン酸(PIP2)にも結合するが、Nedd4L C2ドメインはPSに結合するが、PIP2には結合しない。この性質を利用して解析したところ、PIP2のリポソームに結合したFCHO2はNedd4Lを活性化しなかった。さらに、50nmリポソームによる膜湾曲による活性化されたNedd4LはFCHO2によってさらに活性が増強されなかった。したがって、FCHO2が固有の湾曲率で細胞膜を湾曲し、その湾曲した膜がNedd4Lを活性化させると考えられた。 ENaCはNedd4Lによるユビキチン化によってクラスリン依存性にエンドサイトーシスされることが知られている。細胞レベルでこのエンドサイトーシスを解析するために、上皮性ナトリウムチャンネル(ENaC)のα、β、γの3つのサブユニットを発現させた培養細胞の細胞株を作製している。この細胞株においてNedd4LをノックダウンするとENaCのユビキチン化が阻害され、エンドサイトーシスが抑制された。同様に、FCHO2のノックダウンによってENaCのユビキチン化が阻害され、エンドサイトーシスが抑制された。したがって、FCHO2がNedd4LによるENaCのユビキチン化を制御し、そのクラスリンエンドサイトーシスをコントロールしていることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
1)Nedd4Lの活性化メカニズムを解析する。Nedd4LのC2ドメインはHECTドメインと結合して、活性を自己阻害している。C2ドメインが細胞膜と結合すると自己阻害が解除され活性化されると推測される。Nedd4LのC2ドメインをsynaptotagminやプロテインキナーゼCなどのC2ドメインと比較し、そのC2ドメインに保存されているアミノ酸残基に変異を入れ、細胞膜湾曲の認識する活性やHECTドメインとの結合活性を調べる。細胞膜湾曲を認識する活性を消失した変異株はHECTとの結合も消失すると考えられ、自己阻害が解除されて活性化されることが予想される。このことも同時に解析する。 2)FCHO2以外のBARドメインタンパク質もクラスリン依存性エンドサイトーシスを制御していることが知られている。そこで他のBARドメインタンパク質のFBP17とamphiphysinがENaCのユビキチン化やエンドサイトーシスを制御しているかを調べる。具体的にはα、β、γの3つのサブユニットを発現させた培養細胞において、FBP17やamphiphysin をノックダウンし、ENaCのユビキチン化やエンドサイトーシスへの影響を解析する。 3)FCHO2と蛋白―蛋白相互作用する分子をyeast two hybrid法、プルダウン法、免疫沈降法を駆使して検索する。FCHO2と膜曲率を介して結合する分子候補を検索するために、直径400nm、200nm、100nm、50nm、25nmのリポソームとラット脳可溶画分とインキュベーションする。Nedd4ファミリー以外の分子を同定し、分子レベル、細胞レベルで解析する。
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