研究課題/領域番号 |
19K06654
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
高稲 正勝 群馬大学, 未来先端研究機構, 助教 (20573215)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ATP / エネルギー代謝 / 酵母 / バイオセンサー / AMPK / アデニレートキナーゼ / 恒常性 / タンパク質凝集 / 神経変性疾患 / プリン / ホメオスタシス |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに申請者は「生命のエネルギー通貨」であるATPが、細胞内で常に高濃度に保たれること(ATP恒常性)、またATP動態異常が異常タンパク質の蓄積を惹起するのを発見した。しかしその詳細や生理的意義は不明であった。そこで本研究ではATPによりタンパク質品質管理機構が制御される分子機構の解明を目指す。 多くの神経変性疾患ではタンパク質恒常性の破綻による変性タンパク質の蓄積やエネルギー代謝活性の低下が発症要因になる。本研究によりATP恒常性の破綻がタンパク質恒常性の破綻に帰結する分子機序が明らかになれば、神経変性疾患の発症機構の解明や治療薬の創発にも繋がると期待される。
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研究成果の概要 |
アデノシン三リン酸(ATP)は細胞の最も主要なエネルギー運搬体である。我々はこれまでに細胞内ATP濃度が常にエネルギー需要に対して、必要以上に高く保たれていることを発見し、ATP恒常性と名付けたがその生理的な意味は不明であった。本研究ではまずATP恒常性に関与する遺伝子を複数同定した。それら遺伝子の変異株(ATP変異株)の解析からATP恒常性は細胞内タンパク質の安定化と異常なタンパク質凝集体の分解に重要であることが明らかになった。さらにATP変異株を一細胞レベルで解析した結果、細胞内ATP濃度の一過的な低下が異常なタンパク質凝集体形成を誘導することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は細胞内ATP濃度が一過的にでも低下してしまうと、タンパク質の異常な凝集体形成を誘導する可能性があるため、細胞は常に高濃度のATPを保とうとする、というATPのエネルギー以外の役割を初めて示した。アルツハイマー病等の神経変性疾患を初めとした多くの疾患では、タンパク質の異常な凝集体が毒性を発揮して発症要因になる。本研究で示した、ATP恒常性の破綻による細胞内ATP濃度の変動は、これらのタンパク質凝集体が誘導する疾患の発症機序の一端を説明する可能性がある。このためATP恒常性の仕組みを追求することは、細胞内での異常なタンパク質凝集体形成を抑制する薬の開発に繋がると期待される。
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