研究課題/領域番号 |
19K06695
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
磯野 協一 和歌山県立医科大学, 共同利用施設, 准教授 (90323435)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ポリコーム群 / DNA損傷修復 / 幹細胞 / ゲノム高次構造 / がん / DNA修復 / ポリコーム / loop extrusion / コヒーシン / マウスES細胞 / 遺伝子発現制御 / ヒストン修飾 / ES細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
幹細胞特性である自己複製能と多能性は転写抑制因子ポリコーム群複合体に依るところが大きい。最近、申請者は幹細胞においてポリコーム群複合体の成分PHC2がDNA損傷誘導的にリン酸化されDNA修復に貢献していることを発見した。これはポリコーム群が幹細胞の遺伝情報維持に働いていることを示唆している。本研究では、幹細胞ポリコーム群がDNA損傷応答で働く意義とその機序を解明する。具体的には、複数の特定部位でDNA損傷を誘導できるシステムを幹細胞に導入し、損傷部位でのポリコーム群動態およびポリコーム群転写抑制機能への影響を調査する。この成果は幹細胞の安全性や品質向上に繋がっていくと期待される。
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研究成果の概要 |
クロマチン修飾因子かつ転写抑制因子であるポリコーム群(PcG)複合体は細胞分化や細胞増殖に関わる多くの遺伝子を可逆的に抑制することで幹細胞の分化や自己複製を調節している。その一方で、近年、PcG複合体のDNA損傷応答への関わりが示唆されているが、その分子機構は不明である。本研究では、PcG複合体成分PHC2がDNA損傷誘導的にATMによってリン酸化され、そのリン酸化はDNA修復の場に適した微小環境となるゲノム高次構造変換に寄与していることを発見した。さらに当該の機能異常はがん発症リスクを高めることも示した。本成果はDNA損傷応答におけるPcG複合体の明確な役割を新規分子モデルによって提示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでポリコーム群複合体がどのようにDNA修復イベントに貢献しているのかは不明瞭であった。本研究では、PHC2がDNA損傷シグナルを直接的に受信するという新規証拠に加え、ポリコーム群によるDNA修復貢献の分子基盤の一端を初めて明らかにした。ポリコーム群複合体は転写抑制のみならずDNA修復機能によって、幹細胞の多能性、自己複製能、およびゲノム完全性に寄与することが示唆された。したがって幹細胞研究や再生医療への波及が期待される。さらにポリコーム群機能は重要ながん治療標的となっていることから、本研究が創薬開発の一助となることが期待される。
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