研究課題/領域番号 |
19K06725
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
坂本 敦 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (60270477)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ストレス応答 / 遺伝子発現 / 小胞体動態 / アブシシン酸 / ウレイド / プリン代謝 / シロイヌナズナ / 植物ホルモン / 小胞体 / ジャスモン酸 / ストレス / プライミング / 遺伝子活性化 / アラントイン / 低分子生理活性物質 |
研究開始時の研究の概要 |
プリン体の分解中間体で代表的なウレイド化合物であるアラントインは,植物では長らく窒素栄養の貯蔵・輸送物質と認識されてきたが,乾燥などの過酷環境下で顕著に蓄積し,ストレスに対する植物の適応能力や耐性を高めることを示した。本研究では,このようなアラントインの生理作用がどのような仕組みで発揮されるのかを分子レベルで解明し,代謝中間体の蓄積という一見阻害的な生理現象に秘められた,動けない植物の巧妙な生存戦略の理解を目指す。
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研究成果の概要 |
代表的なウレイド化合物であり,植物において窒素栄養の貯蔵や運搬を担うが,過酷環境下では蓄積することが知られるアラントインが,非生物ストレスやアブシシン酸に関わる遺伝子応答や細胞内応答を亢進することを示した。その作用機序として,アラントインの蓄積は小胞体系の動態変化を誘導することでそこに局在するアブシシン酸配糖体の加水分解酵素を活性化し,この植物ホルモンの生成を促進することを明らかにした。さらに,その作用発現には五員複素環構造が重要であることを示唆した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年,既知の代謝化合物が有する別機能の発見が相次いでおり,特に植物では多様な低分子量の代謝物質が生理機能の調節や活性化に関わっていると推定される。植物生理におけるアラントインの役割が窒素栄養の有効利用に留まらず,ストレス応答の活性化を通じ環境適応にも関わることを示した本研究の成果は,代謝の多機能性の例証を通じ,固着性が故に代謝を機軸として植物が進化させてきた生存戦略の理解に貢献するものである。アラントインは安価で生物分解性に優れたファイトケミカルであり,植物環境応答のケミカルコントロールに適用可能なため,農業生産や作物栽培などへの応用が期待される。
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