研究課題
基盤研究(C)
プラスチドはアミロプラストなどのデンプン蓄積型プラスチドと、エチオプラストなどのデンプン非蓄積型プラスチドに大別できる。本研究の目的は、デンプン非蓄積型プラスチドがデンプンを蓄積しない機構の解明にある。申請者は、エチオプラストにデンプンを蓄積する変異体の単離に成功した。変異体の解析から、デンプン非蓄積型プラスチドでは、葉酸によってデンプン合成が抑制されていることを明らかにした。しかし、葉酸の詳しい作用機作は解明できていない。そこで、葉酸の制御を受けるデンプン合成関連遺伝子やタンパク質の網羅的同定とその機能解析を計画した。得られる知見は、デンプン増産に向けた技術への応用が期待できる。
研究代表者らが提唱した葉酸がデンプン非蓄積型プラスチドにおけるデンプン蓄積を抑制するというモデルの実証をめざした研究を立案し、以下の結果を得た。(1)13株のFU耐性変異体を得た。そのうちの2つは原因遺伝子の特定が終わり、遺伝子の機能を解析中である。どちらの原因遺伝子もこれまでに機能解析が行われた例がない。アデニン耐性変異体とD8耐性変異体についても複数の変異体を単離した。(2)デンプン蓄積誘導能の有する2つの化合物を同定した。そのうちの1つ(D8)は葉酸代謝拮抗剤と考えられた。現在、論文作成中である。D8に結合するタンパク質の生成をめざしてアフィニティー担体を合成中である。
デンプンは食料やバイオ燃料の原料として重要である。デンプンは光合成の最終産物としてアミロプラストや葉緑体に蓄積する。一方、これら以外のプラスチドでは葉酸がデンプンの蓄積を抑制している。本研究によって同定された遺伝子は葉酸によるデンプン蓄積抑制機構に関わると考えられる。より多くの関連遺伝子が同定され、その機能が明らかになることで、葉酸によるデンプン蓄積抑制機構の理解が進むとともに、植物のデンプン生産性向上に向けた技術基盤の開発につながるものと期待される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) 備考 (3件)
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