研究課題
基盤研究(C)
メラニン凝集ホルモンMCHは摂食・情動を調節する神経ペプチドである。その受容体MCHR1は神経細胞一次繊毛に集積する。申請者は、MCHR1活性化は繊毛長短縮を起こすという特異な現象を見出した。本研究では、神経細胞一次繊毛のMCHR1活性化や短縮は神経細胞の機能に関わる各構造にどのような影響を与えるか、更に、一次繊毛を起点とした神経伝達が摂食・急性ストレスによりどのような影響を受けるか、個体レベルで検討する。これらの知見は、正常なシナプス伝達に干渉しない、一次繊毛を介した摂食や情動障害の新たな治療戦略となることが期待できる。
摂食亢進ペプチドであるメラニン凝集ホルモン受容体MCHR1はシグナルハブとして機能する一次繊毛に集積する。本研究では、モデル系で発見した現象を発展させ、以下を明らかにした。①海馬神経分散培養、海馬スライス培養(CA1)、線条体スライス培養、ヒトiPS神経細胞に加え、絶食時の海馬CA1神経においても、繊毛局在型MCHR1を介した繊毛長の縮退が起こることを明らかにした、②MCHR1を介した繊毛縮退に到るまでの新しいシグナルリレー経路を同定した、③ベータアミロイド(Aβ)ノックインマウスでは、アルツハイマー病理進行過程で海馬神経一次繊毛長が伸長しなくなり、Aβは繊毛長縮退作用を持つことを見出した。
本研究により、肥満動物の繊毛縮退に繋がる可能性を持つ「繊毛縮退モデル系群(ヒトiPSを含む)」に加え、鋭敏なvivo検出系も完成することができた。さらに、繊毛発のMCHR1シグナリングリレー経路の存在も明らかにした。これらの結果は、これまでの細胞膜発現系を用いたGPCR研究では得られなかったものである。従って、神経突起やシナプスが主眼ではなく、非シナプス性小器官である1次繊毛からアプローチを行うことで、摂食情動に対する新たな治療薬の開発につながる可能性がある。
すべて 2022 2021 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 5件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (4件) 産業財産権 (1件)
Molecular Neurobiology
巻: 59 号: 1 ページ: 245-265
10.1007/s12035-021-02511-w
Biochem Biophys Res Commun
巻: 610 ページ: 85-91
10.1016/j.bbrc.2022.04.050
Clinical Neuroscience
巻: 40 ページ: 276-278
Neurochem International
巻: 142 ページ: 104902-104902
10.1016/j.neuint.2020.104902
Progress in Neuropsychopharmacology & Biological Psychiatry.
巻: 109 ページ: 110255-110255
10.1016/j.pnpbp.2021.110255
Taiwanese J Psychiat
巻: 35 ページ: 6-11
FASEB BioAdvances
巻: 3 号: 9 ページ: 744-767
10.1096/fba.2021-00029
Mol Brain
巻: 14 号: 1 ページ: 149-149
10.1186/s13041-021-00851-1
EMBO Journal
巻: - 号: 12
10.15252/embj.2019103499
Microscopy
巻: 69 号: 5 ページ: 277-285
10.1093/jmicro/dfaa035
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 510 号: 3 ページ: 370-375
10.1016/j.bbrc.2019.01.093
Neurochemical Research
巻: 印刷中 号: 7 ページ: 1736-1744
10.1007/s11064-019-02806-4
The Journal of Neuroscience
巻: 39 号: 50 ページ: 9967-9988
10.1523/jneurosci.1503-19.2019
日本薬理学雑誌
巻: 154 号: 4 ページ: 197-202
10.1254/fpj.154.197
130007726220
https://home.hiroshima-u.ac.jp/yumist/
http://seeds.office.hiroshima-u.ac.jp/profile/ja.700bcb94f8342637520e17560c007669.html
https://researchmap.jp/read0213041