研究課題/領域番号 |
19K06745
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
増本 三香 北里大学, 一般教育部, 講師 (60458742)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | マダラシミ / 胚発生 / 形態形成 / 中腸上皮 / DAPI / エチジウムホモダイマー / SEM / Propidium Iodide / 比較発生学 / 無翅昆虫類 / シミ目 / 昆虫類 / 比較形態学 |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫類は、地球上で最も繁栄している動物群である。有翅昆虫類がその大部分を占めている(99%)が、このような有翅昆虫類の適応放散をもたらした様々な形質の進化的変遷について議論する上で、有翅昆虫類と姉妹群関係にあるシミ目は、非常に重要な昆虫群であると言える。 シミ目のうち、特にマダラシミは飼育や採卵が容易なため、シミ目のモデル昆虫に最適だと思われる。本研究では、1)マダラシミの胚発生過程における外部形態の変化を詳細に記載し、今後の研究の基礎となる胚発生のステージ表を作成すること、その中で特に、2)昔から議論されてきた昆虫の腹板の形成過程に関する「亜基節由来説」について検証する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、マダラシミの胚発生過程を詳細に調査し、特に腹板の形成過程に注目して、これまで報告された知見を検証することである。胚発生の全体像を把握するために、各ステージの胚をパラフォルムアルデヒド溶液で固定し、蛍光核染色(DAPI染色)を実施した。これにより、より詳細な胚の観察が可能になり、概要を理解することができた。 今後の研究では、腹板の形成過程に焦点を当て、電子顕微鏡(SEMやTEM)を用いた観察を行う予定である。現在、電子顕微鏡観察のための試料を準備中である。また、初期卵(胚盤が形成される前)については、DAPIとは異なる波長で励起されるエチジウムホモダイマーを使用した核染色法を試みている。現在、最適な条件を検討中である。 さらに、中腸上皮の形成過程を詳細に観察することで、中腸上皮が卵黄細胞に由来することを明らかにした。この成果は論文として公表し、他の昆虫群の中腸上皮形成過程と比較して進化的議論が展開した。これにより、マダラシミの胚発生に関する理解が深まるだけでなく、昆虫の発生生物学全体への理解にも貢献することが期待できる。 孵化後の若齢幼虫(1齢~3齢)に関しては、より詳細な観察が必要とされる箇所について、金属蒸着を施さないナノスーツ法を用いてSEM観察を行う予定である。ナノスーツ法は脱水過程がないため、体表のクチクラの収縮などのアーティファクトが抑えられるとされており、より正確な観察結果が期待できる。 これらの研究成果は、マダラシミの胚発生に関する理解を深めるだけでなく昆虫の発生生物学全体に対する理解や応用の可能性にも寄与することが期待できる。例えば、他の昆虫種の発生過程との比較や、遺伝子操作を用いた発生過程の制御、さらには害虫対策や生態学的研究などへの応用が考えらる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胚発生過程おける中腸上皮形成については詳細な観察ができ、成果発表ができたものの、腹板の形成過程の観察については、電子顕微鏡による観察までできておらず、全体としてやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、腹板の形成過程について、電子顕微鏡を用いた観察を中心に行う予定である。それと並行して、胚発生過程の概略について、論文として公表する準備を行う。
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