研究課題/領域番号 |
19K06746
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
上村 佳孝 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 准教授 (50366952)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ハサミムシ類 / 交尾器進化 / メカニクス / 左右性 / 種間変異 / 共進化 / 昆虫 / ボディプラン |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫の中でも比較的原始的な特徴を多く残すハサミムシ類(革翅目)は、そのペニスの本数に多様性が認められる。すなわち、左右一対2本のペニスを持つグループ(祖先的)と、中央に1本のペニスを持つグループ(派生的)である。前者の中には左右ペニスをほぼ均等に使用する種と、「利き手」(=使用頻度の偏り)が見られる種がある。 ハサミムシ類のペニスの本数と利き手の進化史を、形態解析・機能解析・系統推定といった多面的アプローチにより解明し、「利き手の進化とボディプランの進化の関係」を探る。
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研究実績の概要 |
シオリハサミムシPlatylabia majorは、樹皮下の生活に適応した、背腹方向に強く扁平した体を持つ種類である。本種が属するPlatylabiinae亜科は、従来、マルムネハサミムシ科の構成要素とされてきたが、本種の複数の形態特徴は、オオハサミムシ科により近縁であることを示唆している。今年度、過去に得られた標本を含む再検討を実施し、以下の諸点を明らかにするとともに、国内学会および国際誌上で発表をおこなった。①本種のオスは腹部を大きくねじることができず、「2枚の平面が近接した空間」でなければ交尾ができない、②このような特殊化にも拘わらず、これまでに調査されたマルムネハサミムシ科他種やオオハサミムシ科ヒメハサミムシ属Nalaと同様、左右両方の交尾器が使用可能であり、左右の使用に偏りは見いだせない(Kamimura et al. 2023a)。 多くの分類上の混乱を抱えているマルムネハサミムシ科であるが、日本産の種についても、各種の境界について不明な点が存在している。問題解決のため、日本産のハサミムシ目のほぼ全体をカバーする形で、DNAに基づく種同定の可能性が検討された(Kamimura et al. 2023b)。この研究は、現在発表準備中のAnisolabella属やGonolabis属(どちらもマルムネハサミムシ科)の各種の交尾器の左右性に関する調査結果に対して、分類学的根拠を提示するためのものである。 また、Covid-19のパンデミックにより、長らく海外での調査を実施できずにいたが、本年度、調査許可を得て、シンガポールでの野外調査および博物館収蔵の標本に関する調査をおこなった。同地の林床に複数種が生息するGonolabis属等について新たな知見が得られ、現在発表を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度末に実現したシンガポールでの海外調査に関しては、調査のとりまとめ・発表を当初の最終年度末までに実行することは困難であり、海外の他の博物館の標本画像との検討などにも時間を要すると判断されたため、本研究課題の実施期間は一年間延長することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は期間延長後の最終年度として、この調査結果の発表に注力する。すでに主要なデータについては、ほぼ取得を完了した段階にあり、原稿の執筆も開始している。追加の標本検討などをおこないつつ、原稿完成・英文校閲・投稿へと進めていく。
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