研究課題
基盤研究(C)
本研究では、哺乳類における左右軸の形成に関わる繊毛カルシウムの機能を直接的に明らかにすることを目指す。これまでの研究によりノード繊毛におけるカルシウムシグナルの存在が示唆されている。しかし、繊毛におけるカルシウムシグナルと左右対称性の破れとの関連は明確にされておらず、ノード繊毛でカルシウムがどのような経路を介して左側特異的シグナル伝達経路を活性化するかは明らかになっていない。この研究では、トランスジェニック技術や光刺激技術を駆使し、繊毛内カルシウムの吸収、放出による繊毛内のカルシウム動態を操作することで左右対称性の破れにつながるシグナル伝達と、繊毛でのシグナル受容の仕組みを解き明かす。
マウスやヒトの体の左右決定には、発生途中に一過的に形成されるノードに存在する繊毛が必須である。ノードに存在する動繊毛が形成する流れをノードの縁に存在する不動の繊毛が感知することで、左右対称性の破れがおき、シグナル伝達が開始される。本研究では、、ノード不動繊毛、さらに細胞体において左右非対称なカルシウムシグナルが存在すること、さらに繊毛におけるカルシウムシグナルの阻害が左右決定に影響を及ぼすことを初めて示すことができた。
体の左右決定は内蔵逆位、内臓錯位などの原因となり、重篤な心臓病の原因ともなることから、医学的に重要である。一方で、これまで、繊毛が流れを感知するメカニズムなど、不明な部分が多く残されている。特に、繊毛による物理的シグナルの感知とカルシウムシグナルの関係は、これを否定する論文が報告されるなど、決定的な証拠は得られていなかった。本研究では、これまで観測されてこなかった左右決定に関わる繊毛内でのカルシウム濃度変化を初めて、イメージングにより捉えることに成功した。これは、上記の理由から、今後の繊毛研究において重要な知見である。
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