研究課題/領域番号 |
19K06766
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐倉 緑 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (60421989)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 偏光定位 / 昆虫 / 学習 / 偏光 / 定位行動 / 場所学習 / 中心複合体 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの昆虫は「経路積算」に基づいたナビゲーション行動を示す。経路積算を実現するためには自らの移動した方向と距離を統合し、次に進む方向を決定する必要があるが、そのメカニズムは明らかになっていない。多くの昆虫は天空の偏光パターンから方向を検出するが、その情報は脳の中心複合体で処理される。本研究では、コオロギの偏光定位行動と罰学習を組み合わせた新たな実験パラダイムにより、特定のe-ベクトル方向への定位を学習する際の中心複合体偏光感受性ニューロンの応答変化を調査し、ナビゲーションに関わる方向選択の神経基盤を明らかにすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
多くの昆虫は天空の偏光パターンから方向を検出する。これまでに、脳の中心複合体における偏光情報の符号化やオプティックフローとの統合が示されているが、実際のナビゲーション中に行動が制御されるしくみには未解明な点が多い。本研究では、神経行動学のモデル生物であるコオロギを用い、偏光定位行動と脳内神経活動の関係を直接的に解析できる実験系を構築し方向決定の脳内機構に迫ることを目的とした。コオロギは、アリーナでの場所学習実験とトレッドミルを用いた偏光定位罰条件付けのどちらにおいても、偏光のe-ベクトル方向に基づいたナビゲーションを示した。現在、偏光定位学習の成立過程における脳内神経活動の解析をすすめている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
昆虫のナビゲーションの脳内機構は、近年飛躍的に研究がすすんでいる分野であるが、これまでのほとんどの研究は、外界からの刺激の符号化と統合や自己の動きのモニタリングに着目したものであり、個体が経験によって確立した空間認識に基づいて行動を制御するしくみについては未解明な点が多い。本研究では、生理学的な実験に適したコオロギを用いて、このナビゲーション行動発現の神経機構に切り込むための新しいパラダイムを確立できた。定住性のない単独性昆虫であるコオロギのような種においても、適切な条件づけによってナビゲーション行動の変容を捉えられたことは、今後の当該分野の研究の可能性を大きく広げる結果である。
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