研究課題/領域番号 |
19K06775
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
渡邉 英博 福岡大学, 理学部, 助教 (90535139)
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研究分担者 |
西野 浩史 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (80332477)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ワモンゴキブリ / 性フェロモン / 嗅覚受容体 / 後胚発生 / 嗅感覚細胞 / 性行動 / 不完全変態昆虫 / 脳 / 嗅感覚子 / RNA干渉 / 単一感覚子記録 / 嗅覚 / 投射ニューロン / 触角葉 |
研究開始時の研究の概要 |
ワモンゴキブリのような不完全変態昆虫では後胚発生の過程を通して、フェロモン受容・処理系が発達すると考えられる。特にワモンゴキブリの性フェロモン系では、「後胚発生に伴う嗅感覚子の形態変化」や「触角上の局所嗅覚受容野」といった、後胚発生に伴う独特の神経機構が観察できる。不完全変態昆虫を用い、幼虫と成虫において、末梢から中枢・行動出力までの性フェロモン処理機構を網羅的に明らかにすることを目的とした研究は他に例がなく、研究成果から性フェロモン処理や行動発現における新たな神経機構が明らかになると期待できる。
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研究成果の概要 |
ワモンゴキブリ成虫オスは成虫メスの発する二種の性フェロモンを受容することで性行動を解発する。本研究では、性行動を示さないワモンゴキブリの幼虫にも性フェロモン受容のための感覚細胞が存在することを発見し、性フェロモンに対する個々の感覚細胞の応答感度が最終脱皮時に顕著に上昇することを明らかにした。また、成虫オスの触角に特異的に発現する嗅覚受容体を同定し、RNA干渉法と電気生理学実験を合わせることで、ワモンゴキブリの性フェロモン受容体を明らかにした。加えて、性フェロモン受容体の発現阻害個体を用いることでワモンゴキブリの二種の性フェロモンの行動学的な役割の違いや性行動解発のための神経基盤も明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、分子生物学と電気生理学を融合させることにより、ワモンゴキブリが用いる二種の性フェロモンの受容体を世界で初めて同定した。また、性フェロモン受容体遺伝子の発現を阻害することで、二種の性フェロモンの処理過程や行動学的役割の違いを明らかにした。特に、主成分であるペリプラノンBにより活性化される神経回路が性行動の発現に必須であり、副成分であるペリプラノンAはその神経回路を抑制することを見出した。本研究では、衛生害虫であるゴキブリの行動制御に成功しており、ゴキブリの駆除や誘引にも応用できるため、得られた研究成果は社会的にも大きなインパクトを与えるものである。
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